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2/22 【海外サイエンス・実況中継】マックスプランク化学研究所PhDプログラム(ドイツ)

posted Feb 22, 2013, 9:53 AM by Taichi Suzuki   [ updated Feb 22, 2013, 10:07 AM ]
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ Feb 2013, Vol. 56, No. 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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-----------------What's New?--------------------------------
日本学術振興会(JSPS)ロンドン支部の研究者集会で、若林
さんと江口さんが参加され、今年度より新設されたカガクシャ・ネ
ットヨーロッパ部門の近況と展望について講演されました。
http://www.kagakusha.net/news/europeanbranch
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今回はドイツのマックスプランク化学研究所のPhDプログラムについ
て、現在カリフォルニア工科大学でポスドクをされている白岩学さん
に記事を書いていただきました。世界のPhDプログラムを知ることで、
将来の選択肢の視野を広げるきっかけになればと思います。
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・出身大学、学部学科、大学院留学先、学部学科を教えてください。

学部:東京大学 理学部 化学科 (2002-2006)
修士:東京大学 理学系研究科 地球惑星科学専攻(2006-2008)
博士:ドイツ・マックスプランク化学研究所(2008-2012)
ポスドク:カリフォルニア工科大学 化学工学科
(海外学振、2012-2013)
2013年4月より、ドイツ・マックスプランク化学研究所のグループ
リーダー


・キャリアプランについてはいつごろから考えていましたか?

小学生の頃から研究者になるのが夢でした。もともとは日本で博士号
を取り、ポスドクからの海外留学を考えていました。しかし、修士課
程においてアメリカやヨーロッパの研究者と共同研究をする機会に恵
まれて、西欧の大学院の状況を聞いているうちに、日本で学費を払い
給料もない中で博士課程で研究をするのが、途端に馬鹿馬鹿しく思え
てしまいました。これが修士課程2年のすでに10月頃だったと思います。
このような時期に留学を考えるのはとても遅いと思います。しかし、
日頃からよく論文を読んでいたこともあり、どの研究室に行きたいの
かはすぐに絞り込むことができました。
入学申請に必要な書類は推薦状、モチベーションレター、TOEFLのスコ
ア、そして論文などの業績でした。TOEFLは英語のための勉強に受けて
いたので、書類を数週間中にまとめ、12月には申請書をドイツに送り
ました。また、文部科学省の長期留学支援制度というものがあり、こ
の申請の締切がギリギリ年内で間に合いました。1月末には入学の許可
と奨学金を取得でき、晴れて留学が決まりました。留学を決断してか
ら、入学が決まるまで僅か4ヶ月弱という慌しさでした。


 ・留学先をそちらに選んだ動機を教えてください。

マックスプランク研究所を博士課程の留学先に選んだ理由は主に以下の
3点です。
1. ノーベル賞をこれまで32人も出した世界トップクラスの研究機関で
あり、私の研究分野である大気化学の研究が非常に活発であること。
2. 自分のやりたいと思える研究をしているよい先生がいたこと。また
この先生に一度会ったことがあり、信頼できる人だと既に知っていたこ
と。
3. ドイツは修士号を認め、博士課程が3年間であること。アメリカでは
修士は認められず、初めからやり直しで5年間かかってしまうのが私には
ネックでした。


・大学院プログラムの紹介/特徴を教えてください。

マックスプランク化学研究所は研究所ですが、Max Planck Graduate 
Centerという教育プログラムを持っています。学生数は50名ほどで、約
半数が外国人でした(日本人は私一人でしたが)。週に一回のセミナー
への参加が義務付けられていました。あとは各々所属研究室で研究を行
います。
特徴としては、共同研究が非常に活発であることが挙げられます。私自
身、スイスのポールシェラー研究所との共同研究で、正味5ヶ月ほどスイ
スに滞在して実験をしました。また、ヨーロッパはじめアメリカなどか
ら訪問する研究者が多く、学会に行かずとも研究所のセミナーで最新の
研究を聞けることは勉強になりました。


 ・留学生活の苦労、留学の準備としてするべきことを教えてください。

苦労はあったかもしれませんが、忘れました。その程度の苦労というこ
とです。何とかなりますので、余計な心配は不要です。ただ私の場合、
留学の半年後に結婚して、妻が生活面のサポートをしてくれたのがかな
り大きかったです。これがなければ、寂しくなったり栄養不足になって
苦労したかもしれません。
準備としては、TOEFLなど必要な試験を早めにしておくこと。自分の大
学の勉強・研究をきちんとしておくことだと思います(学部生なら講義
・卒業研究、大学院生なら論文を出す)。私は今は博士課程の学生をリ
クルートする立場になりましたが、学生を選ぶのに一番見るのはこれま
での成果です。


・これから大学院留学をする方へのメッセージをお願いします。

まずは自分の本当にやりたいことを見極めてください。留学は目的では
なく、それを実現する一つの手段に過ぎません。信念を持ち、決して努
力を怠らないことです。そうすれば道は自ずと開けます。


・上記で答えられたこと意外で付け加えておきたいことがあれば、お願
いします。

ヨーロッパもアメリカも、日本に比べて実力主義が強いです。成果を挙
げればどんどん引っ張ってもらえます。私自身、博士課程の研究が評価
され、2012年にはマックスプランク協会よりOtto Hahn Medal、ドイツ化
学会よりPaul Crutzen Prizeという2つの若手科学者賞を頂くことができ
ました。この4月からは母校に請われる形で、自分の研究グループを持つ
ことになりました
(www.mpic.de/forschung/multiphasenchemie/group-shiraiwa.html)。

積極的に、攻めの気持ちを常に忘れないことです。皆さんも努力次第で
いくらでも成功できると思います。頑張ってください!


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