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3/9【海外サイエンス・実況中継】ブラウン大学経済学部PhDプログラム

posted Mar 9, 2013, 7:46 AM by Taichi Suzuki   [ updated Mar 9, 2013, 7:47 AM ]
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ March2013, Vol.57, No.1
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今回はブラウン大学経済学部のPhDプログラムに在籍する 高野 昌也さんに記事
を書いていただきました。経済学部は統計学やプログラミングなどを駆使して、
モデルを構築している人もおり、理系出身者も多いので参考にしてみてください。
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"The Ocean State"として知られるロードアイランド州では-15℃を下回る日も
ある等、冬の厳しさは以前として健在であり、時折、日本の冬景色に思いを馳せ
ることがあります。そんな中でも、人口18万人程度と比較的小規模な州都プロビ
デンスでは、学生の活気に溢れています。今回、プロビデンスに数多くある大学
の中、アイビーリーグの一校として知られるブラウン大学の経済学博士課程プロ
グラムについて、在校生の視点から、御紹介させて頂ければと思います。

経済学部は一学年あたり、10人前後で、ここ数年では一年あたり600人以上の出
願があるようです。私の学年は現在、18人在籍しており、他の学年と比べると人
数が多めですが、授業に関して有益な情報は皆で共有し、試験後のパーティーや
クラスメートの誕生日会にはほぼ全員参加する等、競争というより助け合い、苦
楽を共にし、困難をくぐり抜けていく、という意識を共有しているように思いま
す。

留学生の割合は約7割程度で、南アメリカ出身者が多い傾向にありますが、ヨーロ
ッパ、アジアを含め世界各国から様々なバックグラウンドを持った者が集まってい
ます。博士課程出願に関して、日本のように修士号を取得している必要は必ずしも
ありませんが、アメリカ国内外問わず大学院を経て、もしくは国際機関やシンクタ
ンクなどでの数年の勤務経験の後、入学するケースがほとんどのようです。

博士号取得に至るまでは目安として約5年を要し、博士論文審査に至るまでに複数
の基準をクリアする必要があります。1年目には、マクロ経済学、ミクロ経済学、
計量経済学(及び統計)の三科目に加え、秋学期にはそれらの基礎となる経済数学、
春学期には統計ソフト等を用いた、実証のための手法を学ぶ授業の計五科目を履修
します。前述三科目に関しては、1年修了時に予備筆記試験があり、全ての科目に
合格する必要があります。1年目に関しては授業は全て必須科目ですが、2年目には、
専門に分かれて授業を選択することができ、ここで学んだことを経て、自らの専攻
を決定します。また、ブラウン大学の応用数学のプログラムは全米トップクラスで
あり、必要に応じて数学の科目を履修することも可能です。専門科目の口頭試験を
終え、3年目以降に予備論文の審査に合格し、セミナーでの発表を経ることで、やっ
とPh.D.Candidate(博士号候補生)を名乗ることができます。その後、博士論文の
審査を経て、博士号取得に至るわけですが、卒業後、大学を中心とした研究機関へ
の就職を希望する場合は、特に博士論文で研究者としての有望性を示すことが重要
になります。進路としては、他にIMFや世界銀行等の国際機関、中央銀行、シンク
タンク、投資銀行、コンサルティングファーム等を選択する者が多いです。

大学院留学をする上での大きな懸念の一つはやはり、金銭面にあるかと思いますが、
私の在籍するプログラムでは、最低5年間は学費免除、生活費支給、健康保険付与が
保証されています。座学に集中する必要のある1年目を除いて、TA(teaching 
assistant)やRA(research assistant)として教育・研究補助に携わることが条
件となっている場合が一般的です。これらの業務は生活保証に対する対価ではありま
すが、同時に研究者、教育者としてのキャリアを歩んでいく上で得るものは多く、プ
ログラムの構成要素の一つとして捉えることができるのではないかと思います。

私は2012年9月に入学し、約5ヶ月が経ちますが、研究、勉強に集中するのに最適な
環境に身を置いている実感があります。1年目の基本必須科目はコアコースと呼ばれ
ますが、これらを担当するのは全て、その分野で第一線で活躍している研究者であり、
ただ定型化された知識を与えるというよりは、研究者の視点から、疑問を投げかけ、
自ら吟味することを求めます。疑問、不明瞭な点がある場合は教員、TAを最大限に活
用することのできる環境が整えられていますし、クラスメートと毎日、図書館や食堂
等で議論し、より理解を深めています。

私は日本の大学の学士を経て、ブラウン大学に入学しましたが、その授業のレベルの
高さには驚かされました。しかし、同時に日本で学んだことが非常に今、生きている
と感じています。特に、経済学の数理的な側面について深く学ぶことができたこと、
卒業論文やその他の多くの研究を通して、研究を行う上でどのように物事を考えるべき
か学ぶことができたことは私の現在の基礎となっていると思います。

日本で生まれ、日本で教育を受けた者として、アメリカという経済学先端の地で学ぶこ
とができるという僥倖とそれに付随する責任を重く受けとめ、経済学の発展に寄与する
ことができればと、と思います。

最後に、高い目標のために海外で学ばれている方、学ぶことを目指される方々の御健闘
をお祈り申し上げます。


高野 昌也
2011年 慶應義塾大学経済学部卒業
2012年- The Ph.D. program in Economics at Brown University在籍


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