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10/14 【海外サイエンス・実況中継】就職活動記事

posted Oct 13, 2012, 6:33 PM by Yohei Ishii
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ Oct. 2012, Vol. 52, No. 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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メルマガ編集担当ブラウン大学石井です。今回は前代表の山本さんに就職活動
記事を書いていただきました。留学後のキャリアについてわかりやすく
書かれています。それではお楽しみください。

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・大学院留学先、学部学科を教えてください。

米国メリーランド州ボルチモアにある、ジョンズ・ホプキンス大学機械工学科
Ph.D. 課程に在籍しました。留学前は、東京工業大学制御システム工学科を修了し、
その後、日本国内で1年強の留学準備期間を経て、修士・博士一貫課程で学びました。
専門は、ロボット工学、ハプティクス、制御工学です。メルマガの過去ログで、
大学院での研究内容(http://goo.gl/Fv6NY)や留学に至った経緯(http://goo.gl/slro9)
をご覧頂けます。


・キャリアプランについてはいつごろから考えていましたか?

留学前に半年間、東京のベンチャー企業でインターンをさせて頂きました。
そのときの経験から、大学院卒業後は、企業や研究所で R&D 職に携われれば
と、漠然とながら考えていました。実際には、アカデミックも企業にも応募
しました。


・就職先はアカデミアですか?それとも企業就職でしょうか?それは、
どういった分野ですか?大学院研究との関連性はありましたか?

大学院修了直後の勤務先は大学発ベンチャー企業だったので、半企業・半大学
のような雰囲気でした。最先端義手やロボットハンド用の触覚センサを開発・販売
しています。職務内容としては、ロボットハンドに触覚センサを実装し、
触覚情報のみで物体を識別するという、DARPA(国防高等研究計画局)の
プロジェクトに携わりました。大学院では医療ロボットとハプティクス(
力覚・触覚)の研究をしていたため、大学院で学んだ基礎知識が非常に
役立ちました。

1年半弱の勤務後、より自分に合った仕事を求めて、つい最近転職しました。
8年住んだアメリカを離れ、今度はシンガポールの大学発ベンチャーで、
手術支援ロボットを開発しています。前職以上に、大学院での経験が役立つ
と思います。製品のプロトタイプ開発や実際の臨床試験にも立ち会い、
日々多くのことを学んでいます。


・就職先をそちらに選んだ動機を教えてください。

私の場合、最初の仕事も転職後も、結果的に大学研究室発のスタートアップ
になりました。どちらも研究室主宰の教授が、自らの研究結果を元に立ち
上げた会社で、従業員はその研究室の学生・卒業生などが含まれるので、
大学院生活の延長線上に感じます。そう言う意味では、長い大学院生活を
過ごした後には、非常に馴染みやすい環境だと言えます。一方、
スタートアップはスピード勝負なので、どんどんやってくる期限までに
実践的な結果を残すことが求められると思います。


・就職活動のプロセスについてお願いします。どういったプロセスを
経てオファーをいただきましたか?

二度の就職活動で様々なところを受けましたが、一般的には、応募書類
を提出し、電話インタビューを受け、現地面接を経た上でオファーを
頂く形になると思います。今までで一番大変だったインタビュープロセスは、
応募書類(カバーレターとレジュメ)を提出し、人事と技術者とのそれぞれ
の電話インタビューを受け、48時間の Take Home Exam をこなして、
プログラミングコードを提出し、ようやく現地面接となりました。
その現地面接も、1時間の研究トークをこなした後、従業員との社交性を
図るランチ、そして7人の技術者とその分野のスキルを図る各30分ずつの
テクニカルインタビュー、そして最後に人事の方との面接がありました。
特にシリコンバレーなどでは、テクニカルインタビューは日常茶飯時
なので、一般的な面接対策以外にも十分な準備をお勧めします。


・実際にあった面接での質問を教えてください。

下記は、アメリカや日本を問わず、恐らく万国共通だと思います。
- Tell me about yourself. (状況にもよりますが、大体3分以内でまとめることが望ましい)
- What is your greatest strength/weakness?
- Where do you see yourself in XXX years?
- Why do you want this job?
- Who else have you applied to?
- Do you have any questions? (必ず複数の「良い」質問を用意しておくこと!)

アメリカで特徴的なのは、behavioral question と呼ばれる形式でしょう。
例えば、
- Describe a situation where you had a conflict in your team.  How did you handle this?
のような質問を訊かれることがあります。一応正攻法があって、STAR と呼ばれる、
Situation, Task, Action, Result のフォーマットに沿って答えれば、
話が逸れないように答えることができるはずです。これは事前にある程度の
練習が必要だと思います。

また、先ほど述べた technical interview は、大学院での Qualifying Exam
のような感じだと思います。最先端の事柄よりも、むしろその分野の基礎を
しっかりマスターしているかが問われるので、それらをきっちり復習することを
お勧めします。


・面接で気をつけることを教えてください。

現地面接の方が電話面接よりもハードルが高いかと言うと、必ずしもそうでは
ないと思います。インタビューのどの段階であっても、常に最善を尽くすことを
お勧めします。電話面接を通らない限りは、現地面接には辿り着けませんので。


・就職活動において重要だと思われたことを教えてください。

これまでのカガクシャ・ネットのメルマガでも多くの先輩方が書かれている
ことですが、人脈の一言に尽きます。1つのポジションに数百通の応募書類が
届くこともあるそうなので、数百の中からまず電話面接に進むには、志望先で
働いている友人に内情を探ってもらったり、自分のアドバイザーからプッシュ
してもらうことが一番効果的だと思います。カバーレターはレジュメ・CVを読ま
せるためのもの、レジュメ・CVは面接に繋げるためのもの、と私は考えて
いますが、何らかのコネクションがあると、数百分の1の山から飛び抜けられる
ことが可能です。そうは言っても、人脈で通過するのは最初の関門だけです。
最終的にはその人の実力や(色々な意味での)相性が決め手になるので、
当然ながら自分の専門スキルもしっかり磨いて下さい。


・就職活動での苦労、大学院生生活において就職活動準備としてするべき
ことを教えてください。

特に企業就職の場合、オファーを頂いてから返事をするまでの期間が短い
(1〜2週間程度)と思います。一番最初に本命からオファーを頂ければ
全く問題ないのですが、滑り止めからオファーを頂いて、本命はまだインタビュー
すら受けていない場合、どのように交渉して引き延ばすのかが非常に難しく
感じました。また、口頭でオファーを伝えられても、正式なオファーレター
をもらわない限りは簡単にひっくり返されてしまうため、オファーレターを
もらうまでは油断しないで下さい。なお、アメリカで企業就職する場合、
ビザ(H-1B)が問題になってきます。年間発行枚数が制限されているため、
その年の景気に左右される可能性があります。STEM (Science, Technology,
Engineering, and Mathematics) 分野であれば、最長29ヶ月まで OPT が
可能です。

就職活動では、企業、研究所、ポスドク職と色々と出願したのですが、
企業就職(技術職)ではその分野での即戦力が求められる一方、
アカデミック職では論文数やグラント獲得能力など、違った能力が求められ
ます。両方の力が長けていれば言うことなしですが、私自身はどちらも
やや中途半端だったように感じました。インターンを積極的に活用する
などして、自分のやりたいこと、その分野で必要とされる能力をしっかり
把握して下さい。


・これから就職活動をする方へのメッセージをお願いします。

日本では大量に生み出されたポストドクターが以前から問題になっていますが、
世界的な傾向になりつつあります。学位だけでは何もできません。
学位取得過程で、多くの有用な経験を積み、生き抜くためのスキルを
身につけて下さい。将来の見えない世の中だからこそ、より考える力を
蓄える必要があると思います。


・上記で答えられたこと意外で付け加えておきたいことがあれば、お願いします。

2008〜2009年のこのメルマガの過去ログ(http://www.kagakusha.net/e-mag)
にも、大学院卒業後のキャリアパスに関して、多くの先輩方の有用な
意見が述べられています。これから就職活動を控えている方、ぜひ過去ログにも
目を通してみて下さい。

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執筆者自己紹介
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山本智徳
東工大制御システム工学科を卒業後、米国メリーランド州ボルチモアにある
ジョンズ・ホプキンス大学機械工学科 Ph.D. 課程に学び、2011年1月修了。
同年4月より、ロサンゼルスのスタートアップ企業にて、ロボットエンジニア
として、触覚センサの開発やロボットへの応用研究に携わる。2012年9月より、
シンガポールの南洋理工大学発のスタートアップ企業にて、内視鏡手術支援
ロボットの開発に従事。
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