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2012

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【海外サイエンス・実況中継】アラバマ大学院航空宇宙工学プログラム

posted Dec 8, 2012, 8:28 PM by Yohei Ishii

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_/
_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ Dec 2012, Vol. 54, No. 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
_/
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-----------------What's New?--------------------------------
1. 日経ウーマンオンラインとカガクシャ・ネットのコラボ企画が
正式に開始。カガクシャ・ネットスタッフ大矢が執筆。
http://blog.nikkeibp.co.jp/wol/rikejo/

2. 国際人材創出支援センターICBとのコラボ企画
スタッフ大矢がインタビュワーとして参加しました。
「フロンティア開拓への挑戦」 今井章子さん
http://www.icbjapan.org/interview.html
------------------------------------------------------------
---------------講演会のご案内-------------------------------
 12月11日(火) 第17回ICB講演会 19:00~20:30

「高まる国際社会での "Civil Society"の存在感」
講師:会津 泉氏(多摩大学情報社会学研究所主任研究員・教授) 

申し込みはこちらから
http://www.icbjapan.org/forum.html

【日時】2012年12月11日(火)19:00~20:30
【場所】
 東京都千代田区神田錦町3-21
 千代田プラットフォームスクウェア 504会議室
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今回はアラバマ大学院航空宇宙工学についてのプログラム紹介です。
前回配信の就職活動記事とあわせてお楽しみください。
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アラバマ大の大学院プログラム(航空宇宙工学)について

<はじめに>
高橋大介と申します。私は高校卒業後渡米し、2007年にアラバマ大学卒業、
2008年にアラバマ大学大学院の修士課程を修了しました。(大学・大学院共に
専攻は航空宇宙工学)その後、帰国し(株)IHIに就職し、航空機エンジン
の整備/製造の生産技術を担当しております。

<アラバマでの生活>
アラバマ州は米南部に位置し、夏(5月~9月)は日差しが強く、湿度が高く、
気温も40℃近くに達し、非常に熱いです。私が通っていたアラバマ大学
は、アラバマ州西部のタスカルーサ市に位置し、州内最大の都市
バーミングハム市より、車で西に1時間程度です。大学の周りには
多数の学生が住み、飲食店、スーパーも充実しており、学生の街と
いう雰囲気が漂います。週末になると、バーやレストランがにぎやか
になり、大学生活を楽しむ学生などでとても活気があります。私も
日曜日の午後から金曜日まではしっかり勉強し、週末は思いっきり
楽しむという生活をしていました。このようなメリハリをつけた生活
は米の大学の特徴ではないでしょうか。
また、ウォールマートといった大型スーパー、ホームセンター、
ショッピングモールなども、車で10分~15分程度で行ける所にある
ため、日常の買い物では不自由はしません。
アラバマ大学のフットボール部は、地元の根強い人気と、2010年、
2012年に全米チャンピョンに輝いたという実績があり、ホームで
試合があるときは、大学周辺がフットボール観戦者であふれ、
通行止めになる道路もあるほどで、とてもにぎやかです。日本で
言うならば、コンサートやライブからの帰りか、大きな花火大会に
行ったかのような人ごみです。フットボールスタジアムは約10万人を
収容でき、試合中はスタジアムが揺れているかのように感じられる
ほどの応援で、日本では経験できないほど熱狂的な応援を体感できます。
その他、新体操部、陸上部をはじめ、各種運動部が盛んで、母校の
スポーツ観戦が楽しめます。
アラバマ州は自然豊かで、ラフティング、カヤック、ロッククライミング、
釣りなども楽しめます。また、アラバマ州北部のハンツビル市には
NASAのマーシャルスペースセンターがあり、施設の見学ができるため、
宇宙に興味のある方は非常に楽しめると思います。最近では、
大手航空機メーカーのエアバス社がアラバマ州南部のモービル市に
航空機の組立工場を建設する予定があります。


<アラバマ大学>
アラバマ大学はアラバマ州に3つのキャンパスを持っており、
タスカルーサ市にあるメインキャンパスのタスカルーサ校の他、
バーミンハム市にバーミンハム校(医学部が有名)とハンツビル市に
ハンツビル校があります。アラバマ大学タスカルーサ校(以下、アラバマ大学)
は総合大学で文学部、政治経済学部、芸術学部、理学部、工学部、
看護学部、体育学部など幅広い教育ブログラムを備えています。
大学院では、これらに加え、MBAやLow Schoolも併設しています。
南部の大学ということもあり、アフリカン・アメリカンの学生の
割合が他の大学と比べ高めになっています。大学生は約27000人、
院生は約3700人を受け入れており、留学生は世界90カ国以上から
集まっており、国際色豊かな大学です。


<アラバマ大学大学院航 空宇宙工学プログラム(修士課程)>
アラバマ大学大学院航空宇宙工学科のプログラムですが、30単位の
授業の履修、修士論文作成、修士論文のディフェンスを行い、
合格すれば、修士課程終了となります。大学院申し込みから、
修士課程終了までの流れを以下に記載しましたので、御覧ください。

1)    大学院申し込み
大学院申し込みの際に必要な書類は、他大学同様、次の書類となります。
大学時代の成績証明書、TOEFLの点数、 GREの点数、
志望動機書(Statement of Purpose)、推薦状(3通),が必要になります。
また、大学院への申し込みの時期には、応募を募っている奨学金も
ありますので、確認してみることをお薦め致します。てはいかが
でしょうか。私の場合は、同じ大学の大学院に進むということで、
提出書類としては、成績証明書、志望動機書、推薦状の3つで、ほぼ
同時期に奨学金への応募もしました。
大学院生のほとんどはTA(Teaching Assistant)として、学部の授業を
教えたり(主にラボ)、RA (Research Assistant)として教授の研究の
手伝いを行い、授業料の免除を受けています。その他に、大学院
もしくは研究機関などの団体から奨学金を取得するケースもあります。
TAの場合、授業の準備や生徒の宿題の採点などに時間が取られて
しまいますが、RAの場合は、行なっていることが直接自分の研究に
関わることなので、個人的にはTAよりRAの方が薦めです。奨学金は
学費のみ支払われるもの、生活費も支援してくれるものなど、
応募する奨学金によって異なります。まちまちです。私の場合は、
幸運にも、大学院からいただいた奨学金でをもらい、学費、保険代、
生活費など、幸運にも学生として生活するための費用をは全て
カバーすることができました。このため、含まれていました。
米国は奨学金を付与寄与し、未来の発展のために学生に投資してい
るのだという事を強く感じました思いました。逆に言うならば、
我々は投資をしてもらっているため、将来の社会発展に貢献する
べくしっかりと成果を出すことが求められていると思います。

2)    授業
アラバマ大学の修士課程は、コースワークのみで、研究を行わずに
修士課程を修了するコースと、研究を行い、論文を作成して
修士課程を修了するコースの2つに分けることができます。
私は大学時代からの研究を引き続き行いたかったため、後者を
選択しました。なお、博士課程にはコースワークのみのコース
はありません。
(Masters: http://aem.eng.ua.edu/graduate/ms-program/ ,
PhD: http://aem.eng.ua.edu/graduate/phd-program/ )
 
航空宇宙工学科のプログラムには、大きく分けて以下の3つの
専攻があります。

①    Dynamics, Flight Dynamics, Controls
②    Solid mechanics, Flight Vehicle Structures and Materials
③    Fluid mechanics, Aerodynamics and Propulsion

この中から自分の専攻を選び、必須科目である、航空宇宙工学
12単位及び数学6単位に加え、自分の専攻から6単位の選択科目
を受講します。研究として6単位取得するため、計30単位に
なります。必須科目からは、航空宇宙工学について一般的な
基礎を学ぶことができます。数学のクラスは航空宇宙工学科
以外の工学部の学生も受講するため、他学科の学生とも交流を
持てる良い機会でした。
私の、研究内容が“発光塗料を用いた光弾性の非破壊検査技術
の開発”であり、構造・材料の分野に近いため②を専攻先行と
して選びました。プログラムの中でアメリカ人も在籍していま
したが、中国人、インド人が多い印象を受けました。もちろん、
その他の国からの留学生も数名も在籍していました。授業は
一日に1、2科目あり、その他の時間は研究室で研究に取り組んで
いました。トライアスロン部に所属していたため、シーズン中は
1日2~3時間程度は練習に当てていました。セメスターによって
は、授業がない日もありました。各授業の成績の付け方は教授に
よってまちまちですが、例として、以下で紹介する
Experimental Aerodynamicsの場合は、合計100%を実験10%・宿題20%
・レポート50%・試験20%に割り振り成績をつけていました。
特に印象的だった授業は、Experimental Aerodynamicsと
Experimental Mechanicsという実験系の授業でした。これらの
授業では、1週間に2回授業があり、基本的には最初の授業で
理論を学び、次の授業で実験を行い、レポートを提出すると
いう流れでした。授業で学んだ理論を、実験を通して活用でき、
その現象に対する理解がより深まり、実験の準備や実験を2人~3人
のチームで行い、考察結果について議論し結論をまとめることで、
コニュニケーション能力や、自分の考えをどのように理解して
もらうかという理論的説明能力も身についたと思います。学生に
基礎をしっかりと教え、現象を考察させ、グループディスカッション
やレポートで自分の考えを表現させるということが、米国教育の
一つの特徴ではないでしょうか。

3)    研究
研究について(2)の①、②、③の分野で教授が在移籍しており、
どの分野でも研究が可能です。アラバマ大学は1831年創立で
歴史があり、地元地域との結びつきが強い大学であるため、
地元企業との共同研究や、他大学との共同研究も行なっております。
また、アラバマ州北部のハンツビルにNASAマーシャルスペースセンター
があることから、NASAとの共同研究を行なっている研究室も
あります。教授陣の中には、以前NASAでの勤務経験がある方も
がいるので、将来の宇宙開発についてなど、非常に興味深い話を
拝聴することができました。してくれた教授もいました。
修士課程は2年が一般的であるため、最初の1年半程かけ実験
を行い、仮説と検証を繰り返し、結論を導きます。その後、
3~4ヶ月をかけ論文を完成させ、ディフェンス(論文の発表)
に向けて準備を行います。思うような結果が出なかった場合
ときは、実験と論文作成を並行して行います。論文発表に
向けて、まず審査委員の選出を行います。通常は、自分の
担当教授、同学科の専門が近い教授、他学科の教授の3名が
審査委員になり、論文及びディフェンスの審査を行います。
論文の合否は、論文・ディフェンスの完成度と、ディフェンス時の
質問に対する回答が判断基準になります。ディフェンス後に
論文の指摘箇所を修正し、大学院に提出し完了となります。
論文のディフェンス完了までの流れは、アラバマ大学大学院では、
どの学科も基本的には上記と同じです。

4)    私の研究
私はDr. Paul Hubner ( http://phubner.eng.ua.edu/research.htm )
の元下Luminescent Photoelastic Coating(LPC)の開発
(発光塗料を用いた光弾性の非破壊検査技術の開発)を
行なっていました。Dr. Hubnerはこの研究で米と日本で
特許を取っており、感圧塗料 (Pressure Sensitive Paint [PSP])
 及び感温塗料 (Temperature Sensitive Paint [TSP]) の研究発表で、
来日した経験もあることから、非常に親日的な教授でした。
LPCとは非破壊検査方法で、3次元の物体に対して歪分布、
最大/最小応力分布、フェーズの検出が可能で、部品設計時に
適応され、設計工程の時間短縮・コスト削減を可能にします。
研究を始めたのは大学3年生の時で、修士課程修了まで計3年間、
本研究を行いました。私の場合、大学・大学院が同じで、
大学4年時から大学院の授業を履修していたため、大学卒業後1年で
修士課程を終了できましたしました。大学・大学院が同じ場合で
あれば、このようなメリットがあります。
最初の1年間はLPCの基礎の勉強と、教授が異動移動してきたばかりと
いうこともあり、研究室の立ち上げを行いました。4年時から
本格的に研究を始め、様々な対策を打ちながら何度も実験を
行いましたが、なかなか予想通り実験結果が得られませんでした。
時間は経過するばかりで、目標期限としていた時までには、
思うようなデータを得ることができませんでした。そのためよって、
修士課程の後半は実験を並行しながら、論文を作成するという
日々が続きました。結局、理想としていたデータは得られず、
論文を作成しディフェンスに望みましたが、なんとか無事に乗り切り、
論文が合格することになりました。その際に感じたことは、
”今ある手持ちのデータをで、いかにどのように纏め、表現し、
論理立てて説明す語れば、その時点現段階で可能な限りの
最高のアウトプットを出せるか” を考えることの大切さ。
正直、求めていたデータが得られなかったため、悔しさは
ありましたが、その時点では最高のパフォーマンスができた
のではと思います。2008年5月の卒業式後、3ヶ月間研究室に残り、
引き続き研究を継続し行った結果、ようやく求めていたデータを
得ることができました。この時の感動は今でも忘れることが
できません。2008年の夏にSociety of Experimental Mechanics (SEM)
の学会に参加し、研究成果を発表し、Journal Paper (SEM Journal)
を提出し、大学院での研究に幕を閉じました。困難に直面した
時期もありましたが、諦めず最後までやり遂げてよかったと思います。
研究で非常に印象的だったことが、帰国直前にスペースシャトルの
エクスターナルタンクに用いられている材料の強度試験をLPCの技術
を用い行う機会があったことです。留学当初からの夢でもあった、
“宇宙開発に携わる”という事に近づいた瞬間でした。


<卒業後 ~就職~>
卒業後の進路は日米両方を当時考えていました。しかし、米の
航空宇宙業界は”US Citizenship(市民権)”が要求されており、
市民権がない私にはとても高い壁でした。私が興味を持ち調べた
企業は、全て市民権が要求されていました。もし卒業後、米の
航空宇宙業界への就職を希望されて考えている方は、市民権取得
についても検討することをおすすめします。日本での就職活動
については前回配信のメルマガ、就職活動記事(航空宇宙工学)
に詳細を記載しましたので、ご参考にして下さい。


<最後に>
現在航空宇宙分科会の設立に向けて準備中です。同分科会の
目的は、航空宇宙系の分野の留学経験者、留学中の大学院生、
希望者で、留学中に形成したネットワーク(友人・先輩・後輩・教授)
と、カガクシャ・ネット内の該当メンバーとの相乗効果を図る
ことです。興味がある方は staff<at>@kagakusha.net (<at>を@に変えてください)
までご連絡下さい。


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11/25 【海外サイエンス・実況中継】就職活動記事(航空宇宙工学)

posted Nov 23, 2012, 11:50 PM by Yohei Ishii

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ Nov 2012, Vol. 53, No. 2
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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-----------------What's New?--------------------------------
留学ジャーナル別冊2013-2014 海外の大学・大学院留学完全ガイド
へカガクシャネットが紹介されました。
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航空宇宙工学専攻からの就職活動記事です。
ボストンキャリアフォーラムでの就職活動をされたということで
これからの就職を考えている方にとっても有益な記事だと思います。
それではお楽しみください。
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1. 就職活動
・大学院留学先、学部学科、就職先 を教えてください。

高校卒業後渡米し、2007年にアラバマ大学卒業(専攻:航空宇宙工学)。
2008年5月にアラバマ大学大学院を修了しました。その後、2008年10月に
(株)IHIに就職し、航空機エンジンの整備/製造の生産技術を担当して
おります。


・キャリアプランについてはいつごろから考えていましたか?

キャリアプランについては2006年の夏(大学3年時の夏)に日本に帰国して
いる時に、日本の大学に通う友人の影響もあり、就職活動を考え始めま
した。その夏に、就職活動の予行練習として、興味のある企業数社に
エントリーし、数社とは面接を行いました。米に戻り、2006年の11月
(大学4年時)にボストンキャリアフォーラムへの参加準備を通し本格的に
キャリアプランに付いて検討し始めました(2006年9月頃)。ボストン
キャリアフォーラムを通し、2007年の夏(学部卒業後の夏)に興味のある
会社と面接を行い、(株)IHIから内定をもらいました。その後米に戻り、
修士課程を1年で取得し、2008年5月に修士課程終了、2008年10月から
(株)IHIに入社しました。


・就職先はアカデミアですか?それとも企業就職でしょうか?
それは、どういった分野ですか?大学院研究との関連性はありましたか?

就職先は航空機エンジンメーカーである(株)IHIで、企業就職です。
大学院では非破壊検査の開発/応用を行なっていましたが、入社後は
航空機エンジンの整備/製造の技術者ということで、大学/大学院の授業で
学んだこととは関連性はありましたが、大学院研究との関連性は
ほとんどない分野でした。


・就職先をそちらに選んだ動機を教えてください。

実は米の航空宇宙関係の企業も希望していましたが、私が調べた企業は
US Citizen Shipが要求されており、日本の企業に集中し、就職活動を
始めました。IHIを選んだ理由は、私の幼い頃からの夢であり、渡米の
理由の一つでもある“宇宙開発に携われる仕事をしたい”という思いが
あったからです。残念ながら、宇宙関係ではなく、航空機エンジンの
部門に配属になってしまいましたが、興味がある分野ではあったため、
楽しく業務に励んでおります。


・就職活動時期、就職活動のプロセスについてお願いします。どういったプロセスを
経てオファーをいただきましたか?

2007年当時、日本の学生は卒業する年の1年前の春先から就職活動を
するのが一般でした。その様な事情もあり、就職活動に乗り遅れまいと、
修士課程終了時期が2008年5月であるにもかかわらず、2006年11月の
ボストンキャリアフォーラムから就職活動を始めました(卒業の1.5年前)。
そこでIHIと最初の面接を行い、数ヶ月後にエントリーシートを記入し、
送付しました。2007年の夏((6月、7月)に帰国した際に、筆記試験を1回、
その2~4週間後に面接を2回行い、2回目の面接直後に内定をもらいました。
ボストンキャリアフォーラムから夏に帰る期間は、ボストンで会ったIHIの
担当者の方と連絡を取っていました。その他2社にも応募しておりましたが、
就職活動のプロセスは基本的にIHIと同じでした。


・実際にあった面接での質問を教えてください。

以下はIHIの面接の質問です。
1回目の面接 (面接官:技術系幹部1名、人事部1名)
-4力(機械力学、材料力学、熱力学、流体力学)についての口頭質問
-志望動機
-学生時代に取り組んだこと(研究や課外活動など)

2回目の面接 (面接官:技術系幹部1名、人事部1名)
-志望動機
-学生時代に取り組んだこと(研究や課外活動など)
-入社後やってみたいこと
-自分が向いていると思う業務内容


・面接で気をつけることを教えてください。

まずは、基本的な身だしなみを整えることが大切だと思います。
その他には、留学を決断した理由をしっかりと言えるかどうか。留学を
通して学んだことをストーリーだて伝えられるかどうかです。留学
という大きな決断をした背景と志、そしてその留学を通して何を学び、
今後どのように生かせるかということを面接官の方は気にしていた
ように思います。


・就職活動において重要だと思われたことを教えてください。

相手を知ることと、自分を知ることだと思います。例えば、企業の
活動内容や製品が自分の本当にやりたことと合致しているか?私の
場合はボストンキャリアフォーラムで8社ぐらいと面接を行いました。
しかし、8社の内6社ぐらいは、“本当にやりたいことではないが、
多少興味はある”という思いで臨んだため、全くうまく行きません
でした。その後、本当にやりたいことができる会社のみ(3社)に絞り
就活を始めたところ、2/3社は上手くいきました。
その他には、企業の担当者に直接会社の事を聞くことで、ネット上の
情報以外にも様々な事がわかると思います。私の場合はボストンキャリアフォーラム
でたくさんの企業と面接し、相手の企業の事を聞くことで、
“自分が本当にワクワクするのはこの会社なのだ”ということが明確になり、
ターゲットを絞り、集中することができました。


・就職活動での苦労、大学院生生活において就職活動準備としてするべきこと
を教えてください。

就職活動での苦労は、日本企業ついての情報が日本にいる学生ほど
入って来ず、情報収集にくろうしました。私の場合は、筆記試験の
時に友達を作り、就職活動の面接についてなど色々と教えてもらいました。
中には、特定の日付でしか筆記試験や面接を行わない企業もあるため、
試験日の調整ができずに諦めた企業もありました。最近は留学生を
積極採用している企業が増えているため、試験日程に関しては柔軟に
対応してくれるとおもいます。
就職活動準備としてするべきことは、“自分の夢や目標をしっかり持ち、
どの企業であれば自己実現が可能か”ということを事前に調べておくこと
だと思います。そのためにも、前項でも述べたように、企業の活動内容を
しっかりと調べ、入社後のミスマッチを最小限にすることが大切だと思います。
また、米で就職する場合は、指導教官からの推薦も大きく影響して
くるとおもうので、指導教官と良い関係を築くことが大切です。
グリーンカードの申請も検討してみてはいかがでしょうか

・これから就職活動をする方へのメッセージをお願いします。

自分の夢をあきらめず、自己実現にむけ頑張ってください。夢に対する
強い思い、日々の努力、そして自分自身の可能性を信じれば、自己実現は
可能です。辛くて先が見えないような状況になって、諦めてしまったら、
その時点で終わりです。諦めず一歩一歩前進することで道は開けます。
自分を信じて頑張ってください!


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11/10 【海外サイエンス・実況中継】共同企画インタビュープロジェクト

posted Nov 9, 2012, 8:57 PM by Yohei Ishii   [ updated Nov 23, 2012, 11:49 PM ]

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ June 2012, Vol. 53, No. 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
_/
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今回はICB特定非営利活動法人、国際人材創出支援センター様
(http://www.icbjapan.org/takamikaori.html)との
共同企画です。カガクシャネットの高橋がインタビュワーとして
参加しました。それではお楽しみください。
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ICBインタビュープロジェクト
道標:身近なロールモデル

 ひとことで「グローバル化時代の人材」といっても抽象的すぎて
イメージがわきません。また、グローバル化という言葉を使うこと
自体がすでに内向きの姿勢を示しているとも言えます。海外に仕事で
出張することが「国際化」ではないですし、外国人と英語で会話する
ことが「国際化」でもありません。
 実際には、現実社会で仕事をし、生活をしていく中で、そうした
言葉遊びのような議論を越え、内なる境界を破壊し、国境を越えた
「国際化」ならぬ、自分の境界を広げて活躍の場としていく「自際化」
とでもいえるような生き方をしている方々がたくさんいます。
 本プロジェクトは、分野や経歴、留学や海外生活の有無に関わらず、
多様な価値を受容し、自然体で広がる地平を活躍の場としている方々に
スポットライトをあてたインタビューシリーズです。各回の
インタビュー内容から、身近なロールモデルを発見し、なんらかの形で
若手社会人や学生の方々などの道標となるものが見つかることでしょう。

インタビューイー:
高見香織(たかみかおり)
略歴
米で生まれ、9歳まで米で過ごし、9歳で1年間日本の公立小学校に通う。
10歳の時にサウジアラビア、12歳の時にイギリスへ移り中学・高校
へ通う。18歳の時に日本に帰国し、慶応大学経済学部へ入学、
卒業後はフジテレビへ勤務し、調査部、報道部、経済部に計10年間在籍。
その後、米コロンビア大学大学院政治経済学部で修士課程を取得後、
ニューヨークの投資持株会社でアナリスト・ステラテジストとして
2年間、ニューヨークのレストラン開発会社で開発プロジェクトに
2年間従事した。その後、日本に戻り、東京の不動産ファンドで
アジア開発担当とし働き、現在はフリーランスのコンサルタント
とし、米企業の日本進出などに貢献している。


Q)これまで海外での生活経験はありますか?
父親の仕事の関係で米に生まれ、9歳まで米で過ごし、10歳からの
2年間はサウジアラビアで、12歳から18歳まではイギリスで過ごし
ました。日本の大学を卒後後、フジテレビを退職後、米コロンビア大学大学院
へ留学をし、卒業後はニューヨークの投資持株会社、
レストラン開発会社で各2年間働きました。


Q)長い海外生活でいったん日本に帰国されたときのギャップはなんでしたか?
私は9歳からの1年間を日本で暮らし、公立小学校へ通いました。
その際に感じたギャップは、皆がランドセルを持ち、学校では
上履きに履き替えるということでした。米では各自が自分の
バックで通学し、室内でも土足で過ごすため、ランドセルを
持つ習慣と、校舎に入る際に上履きに履き替えるという習慣が
全くありませんでした。体育の時に使用する体操服に対しても、
米では使用しないため、違和感がありました。
その他には、生徒が自分たちで学校を掃除することにも驚きました。
米では、掃除担当の方々がそれぞれの学校にいて、その方々が
掃除をしてくれるため、生徒は掃除をする必要がありません。
生徒が自ら掃除をするという習慣と、帰りの会終了後に掃除を
行うという学校の規則を知らなかったため、帰りの会終了後に
掃除をせずに帰宅したら、翌日罰として、一人で教室の掃除を
行うことになりました。教室の掃除を一度もやったことがないため、
掃除の仕方がわからず、掃除をしなかったところ、一人で音楽室を
掃除するようにと、閉じ込められたこともありました。
また登下校では、子供たちだけで登下校することに
“なんて危険なんだ”と思い、戸惑いを感じました。米では、
小学生の登下校は保護者が送迎するというのが一般的です。
この違いには“Independence(自立、独立) ”に対する捉え方の
違いがあるからでしょう。日本では、小学生が自分たちの力で、
登下校することを“Independence”の一つと考える一方で、
米では子供が危険にあう可能性がある中で登下校することは
“Independence”とは捉えず、逆に安全上の問題と捉えている
ためです。このように文化、習慣、考え方の違いで様々な
ギャップを感じました。

Q)修士課程で再び米国に留学を決めた理由はなんですか?
実は入社前から海外の大学院で、修士課程もしくは博士課程を
取得したいと考えていました。フジテレビに入社し、
幼い頃からの“ジャーナリストになる”という夢は叶えましたが、
仕事をするに連れて、当初抱いていたジャーナリストに
対する理想と現実にギャップを覚え、新しい世界で、楽しい
仕事をしたいという思いがあったためです。その結果、海外の
大学院であるコロンビア大学大学院で、ジャーナリズムとは
全く異なった分野の政治経済を専攻にすることにしました。


Q)グローバルで活躍する場合、必要とされる能力はどの
ようなものだとお考えですか?

一番必要とされるのが、意思決定のスピートが早さだと思います。
そのためには、自分の仕事・発言にしっかりと責任を持ち、
相手を説得させられるような理論的な交渉ができる必要が
あると思います。コンサルタントとし、日本と外国の企業の
間に入り、仕事をしてきた経験上、日本の場合は判断が
下されるまでに審査・承認のための回覧があり、意思決定の
スピードが遅いという印象があります。一方で海外の場合は、
担当者の判断により決断できることが多いため、1つの
仕事においても意思決定のスピードが早く、仕事がスムーズに
進む事が多いです。2カ国以上で仕事をする場合、海外企業の
意思決定のスピードは早いが、日本のスピードが遅いことが
あるため、仕事がスムーズに進まない事があります。
更に、仕事に前向きに取り組むことも、グローバルで活躍する
ための能力であると思います。例えば、ルール等により実行
することが困難な問題でも、そのルールを上手に活用、
もしくは別の方法を提案することで、仕事をスムーズに
遂行していくことができると思います。



Q)どうしたらそのような能力を身につけられますか?

私は、子供が育ってきた環境(主に初等教育)が大きいと思います。
日本の場合、子供同士の喧嘩は子供同士で解決させる事が多々
ありますが、米の小学校の場合は、必ず先生が仲裁に入ります。
先生がお互いの子に、喧嘩の理由や主張などを聞き、お互いの
子に双方の状況を理解させます。その上で、“今日の喧嘩は、
〇〇さんが~をしたから〇〇さんの方が良くないね”などと、
相手の意見を理解し、尊重した上で、理論的な見解を教え、
解決へ導きます。そうすることで、子供は大人から論議において
問題解決の仕方/理論的考え方を学び、交渉力が身につきます。
中学生以降は小学校で学んだことを生かし、生徒間で解決する
ようになります。小学校のうちに、問題解決の仕方や理論的
考え方を先生に教えてもらうことで、将来社会人になって
からもしっかりとした議論ができるようになります。
例えば、今後仕事上で意思決定のスピードを上げるためには、
“私にこの仕事を任せて下さい”と自信を持って上司に伝え
られ、任せてもらえるよう上司を説得できるぐらいの実力と
交渉力を身につける必要があると考えています。


Q)最後にグローバルなキャリアを目指す方々へのメッセージ
をお願いします。

外国とビジネスをする場合、外国の方には、こちらが明確に
言ったことや見えるものしか分かりません。日本の文化の
ように“相手が察してくれる”ということはありません。
また、日本では礼儀として受け入れられることでも、海外
では怪しく見られることがあります。日本では常識でも、
海外では非常識、また逆の場合もあります。考えや意見を
はっきりと目に見える形で伝えることが、相手との
コミュニケーションにおいて非常に大切です。外国の方にも
情熱はしっかりと受け入れられます。強い情熱を持って
行動することで道は開けます。


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10/14 【海外サイエンス・実況中継】沖縄科学技術大学院大学(OIST)プログラム紹介

posted Oct 26, 2012, 11:12 PM by Yohei Ishii


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-----------------What's New?--------------------------------
・カガクシャネットメンバーが共同通信社から取材を受け、記事が
Japan Times にて紹介されました。
http://www.japantimes.co.jp/text/nn20121018f2.html
------------------------------------------------------------
メルマガ担当、ブラウン大学石井です。今回は、
沖縄科学技術大学院大学(OIST)に在籍されている濱田さんに
プログラム紹介をしていただきます。
財政援助が得られる、入学に際してTOEFL, GREを要求されるなど
アメリカのプログラムと同じプロセスがあるようです。海外だけでなく、
こちらのプログラムも留学を考える際の選択肢として上がってくるのでは
ないでしょうか。それではお楽しみください。
------------------------------------------------------------

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の濱田太陽(ハマダ ヒロアキ)と
申します。僕のいる大学院は去年創立され、今年の九月から計18カ国・
地域から新入生34人を受け入れ大学院としてスタートしました。
開学したばかりの大学院なので、Ph.Dプログラムのすべてをお伝えする
ことはできませんが、大学院設立の経緯、Ph.Dプログラム、僕自身が
入学に至るまで体験したことをお伝えしたいと思います。

OISTの簡単な紹介
        OISTは沖縄本島の中部、恩納村に位置しています。琉球王朝の
建物の色を意識して作られたキャンパスに入るには、長い長いトンネルを
抜け、そこからエレベーターで向かうことになります。エレベーターから
臨む東シナ海はマリンブルーのとても澄んだ色をしており、見る者の心を
いやしてくれます。

        元来沖縄は、日本のみならず中国、東南アジアの各国を繋ぐ
中継貿易によって独自の文化を形成してきました。OISTはこのような
沖縄の文化的、地理的な特徴を活かしてアジアのみならず世界を繋ぐ
21世紀の新たな学際的な学問の中心拠点として発展していくことが
期待され設立されたのです。特に、基礎研究に力をいれ日本の次世代の
技術を担う研究の発展、研究者の育成を理念としています。

        OIST設立以前、2005年にはOIST基盤整備のために独立行政法人
沖縄科学技術基盤整備機構が創設されました。この機関には、理事であり
著名な分子生物学研究者であるシドニーブレナー博士の下、神経科学や
分子生物学といった分野を中心に研究されていました。さらに、教育の
充実を目的として世界中から著名な研究者を招き交流が行われる
Okinawa Computational Neuroscience Course(OCNC:沖縄計算神経科学コース)
といったサマーコースが開始され、教育体制に不備がないように徹底されて
います。

        OISTの設立には利根川進博士をはじめとしたノーベル賞受賞者複数名を
含む世界各国で活躍している研究者17名が委員としてかかわり、科学者の
目から見た最高の環境づくりを目指しているのです。現在、OISTで展開されて
いる主な研究分野は、神経科学、分子・細胞生物学、環境・生態学、物理科学、
数学・計算科学といった学問分野です。学生は、この複数の分野の架け橋に
なることが期待されているのです。

        最近では、神経科学、分子生物学に限らず多くの分野でのサマースクール、
ワークショップが開催され小さな学会も頻繁に行われるようになってきました。


研究所の規模と設備
        OISTは教員50名程度、学生は一学年20名程度、ポスドク、技術員、
職員などを含めると500名ほどの小規模な大学院となっています。しかしながら、
導入されている機器は最先端のものばかりでありこの規模の大学院ではありえない
ほどになっています。僕の専門分野に関連する範囲でいえば、高速に大量のDNA配列を
読むことができる次世代型シークエンサーを6台、また神経科学分野で神経細胞の
活動を詳細に記録することができる二光子顕微鏡も4台ほど導入されており、
学生であっても自由に使うことができる環境になっています。


Ph.Dプログラムの紹介
        OISTは、九月入学の五年一貫制の博士課程のみをもち、様々な国から学生を
集め教育、研究ともに英語で行っています。先ほども述べたように、サマースクールや
ワークショップでの経験を活かし、教育と研究の整備には余念がありません。また、
このようなイベントを通じて、世界各国の研究者と交流することができ、将来の
キャリア形成に繋がります。さらに、後に詳しく述べるように英語で高等教育を受けて
こなかった学生に対しては研修制度が設けられており、英語が苦手なものであっても
学生生活を円滑におくれるように配慮がなされています。

        学生において一番の心配は、お金の問題だと思います。OISTでは、入学した
学生はリサーチアシスタントとして研究に従事することで財政支援を受けることが
できすべてに対して入学費、学費、生活費すべてにおいて給付金があり、日本の
大学のようにアルバイトをしながら大学に通わなければならないという制約がなく
なっています。さらに金銭面のサポートの他、住居の提供、育児施設、PCの無料貸与
の提供などといったサポートも充実しています。

        少し詳しく博士課程の流れをみてみましょう。学生は、二年の間に18単位
を専門分野から取得することが義務づけられ、また初年度は授業と平行して三つの
研究室を回ること(ラボローテーション)が期待されています。さらに特徴的なのは、
この三つの内、一つの研究室は自分の研究分野とは異なる分野であることが必須と
されている点です。もちろん、まったく異なる分野というわけではなく、将来的に
自分の分野に関連するような分野を選択することができるのです。このラボローテーション
ののちアドバイザーとともに博士論文の計画を練り上げ、3-5年にかけて博士論文を
完成していくカリキュラムになっています。

        しかしながら、修士取得した学生にとっては5年一貫制はあまりにも
長過ぎるかもしれません。その場合は3-4年で卒業できるように個人に合わせて
カリキュラムの変更を行うことができます。例えば、ラボローテーションを二つ
にし、授業を一部免除して、さっそく博士論文の準備を行っている学生も存在
します。心配な方は興味のある教授とコンタクトをとってみるといいと思います。

入学に関して
        ここではOISTの入試について説明したいと思います。OISTの入試には
二段階に分けられています。それは書類審査とインタビューです。

        書類審査の段階では、学生は英語で個人情報、志望動機書、成績証明書、
GREもしくはTOEFL等のスコアの提出をWebを通じて行うことになっています。
この際自分の希望する研究分野と教授について答えることになっています。
もちろんそれなりに成績証明書、英語のスコアが重要視されますが、一番重要なのは
志望動機書です。どこの大学院でも同じですが、学生は自分の研究したい
分野の興味について明確に述べる必要があるようです。

        書類審査を通過すると、メールを通じてインタビューの呼びかけが
行われます。学生は沖縄までくることが求められますが、その際にかかる
費用はすべてOISTが負担してくれます。沖縄にきた学生は3日間の間に、
自分の希望する分野の教授陣と一対一の面接を5もしくは6回と、三時間以内で
与えられた記事に対して自分なりの意見を述べるエッセイを書くことが求められ
ます。もちろんすべて英語です。

        面接の内容は教授によって様々なようです。僕の面接では、これまでの
研究の説明、やりたい研究の内容、OISTを選ぶ理由といった研究に関する話から、
好きなゲームと研究のつながりなどいったカジュアルな会話、”自分の研究が
どうしようもうまくいかなくなったときどうするか?”といった人生観のような
ことも尋ねられました。

        エッセイでは様々なバックグラウンドをもつ学生に考慮して10本ほどの
記事の束を渡され、その中から一つだけ興味のある分野の記事を選び、自分の
意見を5パラグラフで書くことが求められました。

        ハードなエッセイと面接のあとには食事会が催されます。他の入学希望者と
僕も少しだけ話をしましたが、様々な経歴をもつ人たちの話を感慨深く聞いた
記憶があります。東南アジアで生物学の教師をしている人、20歳で大学を
卒業した人、就職をしたのち研究者として働いている人。様々な人生があるのだと
実感した日でした。

Gap programの紹介とその経験
        OISTに合格すると、合格時期に応じて研修期間が設けられます。
例えば、3月に合格が決まった人は5月以降からOISTの研究室に呼ばれ、
入学までリサーチアシスタントとして研究を行うことができます。また、
前述のように、何人かの学生は英語トレーニングのために海外研修に行くことも
できます。実はぼくはその海外にいった一人でした。

        僕の場合は、生物学で有名なアメリカのカルフォルニア大学サンディエゴ校が
設けている語学学校に研修として二ヶ月間ほど送ってもらいました。
さらにこの期間、語学学校だけでなくサンディエゴ校の近くにあるソーク研究所という
生物学の研究機関の中では有名な研究所でサマーインターンの形で研究室に
所属することができました。海外研修先は、個人の希望する研究分野の中から
OISTが連携している研究所の中から選定され、ソーク研究所はその一つだった
いうわけです。他の学生は、サンディエゴ校の中の研究室に配属されていました。

        この期間に様々な場所で研究室の仲間と地元の人たちと話をしましたが、
そこで培われる英語感覚というものは研究にも活かされるものだと実感しています。
サンディエゴでは、彼らの人生観、科学観、兄弟姉妹のことなどなど様々な会話を
しました。OISTの同級生たちとラーメン屋で突如議論することができるのも、
サンディエゴで経験した生活の中にある言語感覚によって磨かれたといっても
過言ではないかもしれません。

入学後と学生生活
        OISTに入学すると同時に、学生のサポートをしてくれる教授と一緒に
授業を決め、ラボローテーションの研究室を決めます。その後は、授業をしながら
多忙な毎日の生活を過ごすことになります。

        OISTでの生活はまだ完全に整備されたものではありません。スーパーなどは
キャンパスから遠いので、車を持たない学生にはまだまだ不便なことが多いです。
しかしながら、毎日キャンパスからでるシャトルバスで買い物にいくこともできるように
なっていますし、キャンパス内のコンビ二で生活必需品を買うこともできます。
また卓球台、ダーツなどの遊び場もでき始めています。

        さらに、毎週木曜日には午後4時からティータイムの時間がありキャンパスに
いる多くの研究室やアドミニストレーションオフィスから人がカフェテリアに
集まり話をします。このような機会を利用してキャンパス内の学生と研究者、
アドミニストレーションスタッフたちは交流しているのです。ざっくばらんに
異分野の研究者たちが研究について語る姿は、OISTの理念を自然に受け継いでいると
言えると思います。またフットサルクラブ、テニスクラブ、バレーボールクラブ、
サルサダンスなどなど研究者たちで作るクラブ活動も盛んで、金色の夕陽が沈んで
いくのを感じながらスポーツで汗を流すのが僕の一つの楽しみとなっています。


        ここまでが僕が知っていることのすべてです。 この文章を読んでくれた方と
このOISTのキャンパスでまた会えたらそのときは続きの話をしたいと思います。


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10/14 【海外サイエンス・実況中継】就職活動記事

posted Oct 13, 2012, 6:33 PM by Yohei Ishii

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メルマガ編集担当ブラウン大学石井です。今回は前代表の山本さんに就職活動
記事を書いていただきました。留学後のキャリアについてわかりやすく
書かれています。それではお楽しみください。

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・大学院留学先、学部学科を教えてください。

米国メリーランド州ボルチモアにある、ジョンズ・ホプキンス大学機械工学科
Ph.D. 課程に在籍しました。留学前は、東京工業大学制御システム工学科を修了し、
その後、日本国内で1年強の留学準備期間を経て、修士・博士一貫課程で学びました。
専門は、ロボット工学、ハプティクス、制御工学です。メルマガの過去ログで、
大学院での研究内容(http://goo.gl/Fv6NY)や留学に至った経緯(http://goo.gl/slro9)
をご覧頂けます。


・キャリアプランについてはいつごろから考えていましたか?

留学前に半年間、東京のベンチャー企業でインターンをさせて頂きました。
そのときの経験から、大学院卒業後は、企業や研究所で R&D 職に携われれば
と、漠然とながら考えていました。実際には、アカデミックも企業にも応募
しました。


・就職先はアカデミアですか?それとも企業就職でしょうか?それは、
どういった分野ですか?大学院研究との関連性はありましたか?

大学院修了直後の勤務先は大学発ベンチャー企業だったので、半企業・半大学
のような雰囲気でした。最先端義手やロボットハンド用の触覚センサを開発・販売
しています。職務内容としては、ロボットハンドに触覚センサを実装し、
触覚情報のみで物体を識別するという、DARPA(国防高等研究計画局)の
プロジェクトに携わりました。大学院では医療ロボットとハプティクス(
力覚・触覚)の研究をしていたため、大学院で学んだ基礎知識が非常に
役立ちました。

1年半弱の勤務後、より自分に合った仕事を求めて、つい最近転職しました。
8年住んだアメリカを離れ、今度はシンガポールの大学発ベンチャーで、
手術支援ロボットを開発しています。前職以上に、大学院での経験が役立つ
と思います。製品のプロトタイプ開発や実際の臨床試験にも立ち会い、
日々多くのことを学んでいます。


・就職先をそちらに選んだ動機を教えてください。

私の場合、最初の仕事も転職後も、結果的に大学研究室発のスタートアップ
になりました。どちらも研究室主宰の教授が、自らの研究結果を元に立ち
上げた会社で、従業員はその研究室の学生・卒業生などが含まれるので、
大学院生活の延長線上に感じます。そう言う意味では、長い大学院生活を
過ごした後には、非常に馴染みやすい環境だと言えます。一方、
スタートアップはスピード勝負なので、どんどんやってくる期限までに
実践的な結果を残すことが求められると思います。


・就職活動のプロセスについてお願いします。どういったプロセスを
経てオファーをいただきましたか?

二度の就職活動で様々なところを受けましたが、一般的には、応募書類
を提出し、電話インタビューを受け、現地面接を経た上でオファーを
頂く形になると思います。今までで一番大変だったインタビュープロセスは、
応募書類(カバーレターとレジュメ)を提出し、人事と技術者とのそれぞれ
の電話インタビューを受け、48時間の Take Home Exam をこなして、
プログラミングコードを提出し、ようやく現地面接となりました。
その現地面接も、1時間の研究トークをこなした後、従業員との社交性を
図るランチ、そして7人の技術者とその分野のスキルを図る各30分ずつの
テクニカルインタビュー、そして最後に人事の方との面接がありました。
特にシリコンバレーなどでは、テクニカルインタビューは日常茶飯時
なので、一般的な面接対策以外にも十分な準備をお勧めします。


・実際にあった面接での質問を教えてください。

下記は、アメリカや日本を問わず、恐らく万国共通だと思います。
- Tell me about yourself. (状況にもよりますが、大体3分以内でまとめることが望ましい)
- What is your greatest strength/weakness?
- Where do you see yourself in XXX years?
- Why do you want this job?
- Who else have you applied to?
- Do you have any questions? (必ず複数の「良い」質問を用意しておくこと!)

アメリカで特徴的なのは、behavioral question と呼ばれる形式でしょう。
例えば、
- Describe a situation where you had a conflict in your team.  How did you handle this?
のような質問を訊かれることがあります。一応正攻法があって、STAR と呼ばれる、
Situation, Task, Action, Result のフォーマットに沿って答えれば、
話が逸れないように答えることができるはずです。これは事前にある程度の
練習が必要だと思います。

また、先ほど述べた technical interview は、大学院での Qualifying Exam
のような感じだと思います。最先端の事柄よりも、むしろその分野の基礎を
しっかりマスターしているかが問われるので、それらをきっちり復習することを
お勧めします。


・面接で気をつけることを教えてください。

現地面接の方が電話面接よりもハードルが高いかと言うと、必ずしもそうでは
ないと思います。インタビューのどの段階であっても、常に最善を尽くすことを
お勧めします。電話面接を通らない限りは、現地面接には辿り着けませんので。


・就職活動において重要だと思われたことを教えてください。

これまでのカガクシャ・ネットのメルマガでも多くの先輩方が書かれている
ことですが、人脈の一言に尽きます。1つのポジションに数百通の応募書類が
届くこともあるそうなので、数百の中からまず電話面接に進むには、志望先で
働いている友人に内情を探ってもらったり、自分のアドバイザーからプッシュ
してもらうことが一番効果的だと思います。カバーレターはレジュメ・CVを読ま
せるためのもの、レジュメ・CVは面接に繋げるためのもの、と私は考えて
いますが、何らかのコネクションがあると、数百分の1の山から飛び抜けられる
ことが可能です。そうは言っても、人脈で通過するのは最初の関門だけです。
最終的にはその人の実力や(色々な意味での)相性が決め手になるので、
当然ながら自分の専門スキルもしっかり磨いて下さい。


・就職活動での苦労、大学院生生活において就職活動準備としてするべき
ことを教えてください。

特に企業就職の場合、オファーを頂いてから返事をするまでの期間が短い
(1〜2週間程度)と思います。一番最初に本命からオファーを頂ければ
全く問題ないのですが、滑り止めからオファーを頂いて、本命はまだインタビュー
すら受けていない場合、どのように交渉して引き延ばすのかが非常に難しく
感じました。また、口頭でオファーを伝えられても、正式なオファーレター
をもらわない限りは簡単にひっくり返されてしまうため、オファーレターを
もらうまでは油断しないで下さい。なお、アメリカで企業就職する場合、
ビザ(H-1B)が問題になってきます。年間発行枚数が制限されているため、
その年の景気に左右される可能性があります。STEM (Science, Technology,
Engineering, and Mathematics) 分野であれば、最長29ヶ月まで OPT が
可能です。

就職活動では、企業、研究所、ポスドク職と色々と出願したのですが、
企業就職(技術職)ではその分野での即戦力が求められる一方、
アカデミック職では論文数やグラント獲得能力など、違った能力が求められ
ます。両方の力が長けていれば言うことなしですが、私自身はどちらも
やや中途半端だったように感じました。インターンを積極的に活用する
などして、自分のやりたいこと、その分野で必要とされる能力をしっかり
把握して下さい。


・これから就職活動をする方へのメッセージをお願いします。

日本では大量に生み出されたポストドクターが以前から問題になっていますが、
世界的な傾向になりつつあります。学位だけでは何もできません。
学位取得過程で、多くの有用な経験を積み、生き抜くためのスキルを
身につけて下さい。将来の見えない世の中だからこそ、より考える力を
蓄える必要があると思います。


・上記で答えられたこと意外で付け加えておきたいことがあれば、お願いします。

2008〜2009年のこのメルマガの過去ログ(http://www.kagakusha.net/e-mag)
にも、大学院卒業後のキャリアパスに関して、多くの先輩方の有用な
意見が述べられています。これから就職活動を控えている方、ぜひ過去ログにも
目を通してみて下さい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━
執筆者自己紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━
山本智徳
東工大制御システム工学科を卒業後、米国メリーランド州ボルチモアにある
ジョンズ・ホプキンス大学機械工学科 Ph.D. 課程に学び、2011年1月修了。
同年4月より、ロサンゼルスのスタートアップ企業にて、ロボットエンジニア
として、触覚センサの開発やロボットへの応用研究に携わる。2012年9月より、
シンガポールの南洋理工大学発のスタートアップ企業にて、内視鏡手術支援
ロボットの開発に従事。
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9/30 【海外サイエンス・実況中継】アリゾナ大学大学院生私生活記事

posted Sep 29, 2012, 3:05 PM by Yohei Ishii

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メルマガ編集担当ブラウン大学石井です。今回はメルマガ担当でアリゾナ大学
に在籍されている鈴木さんに大学院私生活記事を書いていただきました。
お楽しみください。
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<大学院生私生活>
アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学進化生態学のPhD過程の学生で、
ハツカネズミの環境適応を研究している鈴木太一です。ツーソンは
大学を中心として発展した田舎町で、Masterの期間を含めると3年間
ツーソンで生活しています。今回は情報を得にくい、留学生の衣食住、
研究生活、娯楽、お金事情などちょっとリアルな海外院生生活を
ご紹介したいと思います。

衣:Life Science系の教授や大学院生は、一般的に衣服にあまり関心が
ありません。教授でも基本半袖短パンにサンダルだったりします。
医学系の方々はビシッとスーツですが。卒論発表会用などにスーツを
一着日本から持ってくれば、モールなどで普段着はどうにでもなります。

食:アリゾナは特に日本人が少ないのでおいしい日本食は期待できません。
ツーソンはメキシコ料理が中心です。ツーソンの物価は日本よりも安い
です。ある程度の自炊能力があれば、アジアンマーケットを駆使して、
低下価格でおいしい日本食を食べることができます。月々の食費は人
それぞれですが、自炊すれば月に$200-300で生活できます。ちなみに
日本の大学のような低価格でバランスの良い学食はなく、大学内の食堂
はほぼジャンクフードです。留学前に料理の腕を磨いておいてもいいか
もしれません。

住:大学院生は基本複数(1~3人)の生徒とルームシェアするのが
一般的です。家賃の価格は、大学の寮が一番高く、大学近辺の物件が
次に高く、大学を離れるにつれて安くなります。平均して月々の家賃は
$400程度。インターネット、光熱費を入れても、$450-500が相場です。
留学前にいい物件を探すのは難しいので、受け入れ先の研究室の大学院生に
アドバイスをもらうか、短期間泊まれる場所を確保して現地についてから
友達を集めて住む場所を決めるというのが利巧でしょう(アパートの
契約は主に1年契約なので)。

研:研究分野、学科、研究室によって研究生活は異なりますが、アメリカ人は
8時半出勤、5時帰宅が基本です。金曜日は早めに帰り、土日はあまり人を
見かけません。研究室の仲間でお酒を飲みながら研究室に入り浸ると
いったことはほとんどありません。子供を仕事場やパーティーに連れて
きたり、プライベートを大切にします。また必ずしも夜遅くまで働いて
いる学生がSuccessful というわけではなく、タイムマネージメントが
重要なようです。

娯:ツーソンを知る人は娯楽がないと言いますが、アウトドア派であれば、
ツーソンはハイキング、サイクリング、ロッククライミングで有名です。
お酒が好きならバーやクラブでストレス発散、学部生は基本毎週パーティー
をしています。もちろん娯楽がないとやっていけませんが、大学院留学の
目的が専門性を極めることなら、娯楽が少ない砂漠の真ん中は悪い環境では
ありません。

金:州立大学であるアリゾナ大学は、州外の学生(留学生を含む)に対する
学費が高いです。一学期約$10,000-12,000。研究費は教授に頼るか、自分で
学外の助成金を獲得します。日本に比べ助成金制度は充実していますが、
膨大な学費、生活費までカバーしてくれる助成金は少ないです。それぞれの
学科でTA (Teaching Assistance)やRA (Research Assistance)の枠を持って
いて、学費全額と給料を支給してくれる制度も存在します。ちなみにうちの
学科のTAの給料は約$1400/月程度で、普通に生活していける額です。
基本TAをやりながら、学外の助成金に出願するというのが一般的です。
夏休みと冬休みの生活費は他のソースを探す必要がありますが。

少しでも役に立つ情報はあったでしょうか。あくまでも自分の体験に基づく
一つの具体例で、 異なる州、大学、学科、研究室などによってもちろん
事情は異なります。一般的に言える日本とアメリカの大学院生生活の一番の
違いは、TAなどの制度を使い、生活費をもらいながら好きな勉強をすること
ができるという所だと思います。贅沢な生活は期待できませんが、異文化を
楽しめる余裕さえあれば、好きなことを好きなだけ勉強できる生活が待って
います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━
執筆者自己紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━
鈴木 太一
2009年 日本大学生物資源科学部動物資源科学科 卒業
2011年 The University of Arizona, Ecology and Evolutionary Biology, Masters
2011年-現在 The University of Arizona, Ecology and Evolutionary Biology, PhD student
━━━━━━━━━━━━━━━━━
執筆後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━
来週から、ユタ州、モンタナ州、カナダと車で2ヶ月間キャンプをしながら、
ハツカネズミを捕まえる調査に出かけてきました。見たこともないフィールドで、
見たこともない生き物に遭遇できる楽しさも留学生ならではの特権かもしれません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
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編集責任者: 石井 洋平/鈴木 太一
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9/16 【海外サイエンス・実況中継】コロラド大学デンバー校

posted Sep 15, 2012, 7:30 PM by Yohei Ishii   [ updated Sep 17, 2012, 8:25 PM ]


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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ Sep 2012, Vol. 51, No. 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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1. 日本経済新聞 8/21 朝刊1面に、カガクシャ・ネット主催公開イベントが紹介されました。
http://www.kagakusha.net/news/kagakusha%E3%83%BBnettorijingxinwennizairu

2. 留学後のキャリアサポート開始のお知らせ
http://www.kagakusha.net/news/liuxuehounokyariasapotokaishinoozhirase

3. 米大使館主催 『AMERICA EXPO 2012 カレッジフェア & 留学・進学セミナー』(9/15)
にて、エグゼクティブメンバーの庄司さんがご講演。
http://www.kagakusha.net/news/amerikadashiguanzhucui%E3%80%8Eamericaexpo2012karejjifealiuxue%E3%83%BBjinxuesemina%E3%80%8F

4. 只今、MLでは、数理生物学、航空宇宙での留学に関する情報、英国大学院情報を配信中。
ご登録などの詳細: http://www.kagakusha.net/mailing-list

5. 7/22開催 公開イベントの模様を配信中
講演動画: http://www.kagakusha.net/conference/videos
資料: http://www.kagakusha.net/conference/conference-materials
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メルマガ編集担当ブラウン大学石井です。今回はコロラド大学を卒業された押元さんに記事を
書いていただきました。私生活から大学生活、また卒業後の進路に至るまで幅広く網羅されて
います。ぜひお楽しみください。

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        私はUniversity of Colorado at DenverのNeuroscience  Ph.D. Program を
2012年2月に卒業しました。まず何よりも、2012年7月20日に起こった、銃乱射事件
により亡くなった方々、怪我を負われた方々、そのご家族に心よりお悔み申し上げ
ます。

私が所属したプログラムはコロラド大学デンバー校のメディカルキャンパスの中に
あります。ここには学部生がおらず、TAをする必要がありませんでした。この
キャンパスではおよそ3000人の学生が学んでおり、多数の病院も隣接しており、
話に聞いたところによると、世界で初めての肝臓移植手術もこのデンバーにある
大学病院で1963年に行われたようです。

        このメディカルキャンパスはコロラドのデンバー国際空港から車でおよそ
25分程、デンバーダウンタウンまではおよそ20分程のところに位置しています。
公共の交通手段はバスしかありません。路面電車も数は少ないですが住んでる
ところによっては使用可能です。2016年か、大分先だと思った覚えがあるの
ですが、メディカルキャンパスからも路面電車が通るようになるという噂は
ききました。私は2012年に卒業予定でしたので、あまり気にも留めません
でしたが、それが開通すれば、キャンパスの駐車場合戦はすこし和らぐで
しょう。私が住んでた場所から一番近いスーパーマーケットに行くにも、
車で5分でした。歩くと25分くらいでしょうか。このように、デンバーで
学生生活を送るには車は必要不可欠です。その代わり、バスはほぼ時間
通りくるし、大雪の日でも大抵チェーンをつけて走ってますので、頼れる
交通手段です。

        デンバーはマイルハイシティーという別名もあるとおり、標高が
1600メートルのところにあります。富士山で言うと何合目なんでしょう
か。想像のとおり空気が薄く、紫外線がものすごい強く、空気が非常に
乾燥しているもともとは砂漠地帯です。空気が乾燥しているため洗濯物が
すぐ乾く(乾燥機かけずにジーンズが一晩で乾いてしまう)、湿気臭く
ならない、カビが生えない、など良い点もありますが、体が順応しないと、
頭痛、倦怠感、異常な喉の渇き、手、お肌が異常に荒れる、等々、標高
の高い土地に住む難しさもあります。 また冬場は雪深い場所です。
ですが、午前中大雪で積もっても午後カンカン照りで10cm-20cm積もった
雪が翌日には解けている、など当たり前にあります。公共の除雪車も
すぐに出動してくれるので、車道が閉鎖することはめったにありません。
歴史的な大雪のときはあったと思います。

        このNeuroscience Ph.D. Program にアプライしたときは、
私のTOEFLのスコアは257点(2006年当時)で、GREはVerbalが10%below、
Analyticalが16%below、Quantitative が71% below、確かエッセイが
3.5点(2006年当時)でした。多少記憶に間違いがあるかもしれませんが。
このスコアが高いのだか低いのだかも当時も今もピンと来ませんが参考に
なったらいいなと思います。私個人の印象としては、プログラム側は
点数が高い低いより、研究の経験があるか、どのような人を知っているか
(コネクション)、どのような人物か、研究を熱心に出来るか、等の
要素を重視するのだと思います。私はアプライする前、大学4年生の春、
コロラド大学を訪問し、Neuroscience Programの教授達に実際に会いに
行きました。私が卒業研究を行ったラボの教授がここのプログラムのPI
とかつての研究仲間であったことも、大きかったと思います。

        まず1年目はコースワークですね。8月の末から始まり、翌年5月
くらいまで続きます。同時に3つのラボのローテーションを3ヶ月づつ
行うわけですが、毎回ローテーションの終わりにはローテーショントークと
言って15分の発表をします。3つのラボで決められない場合は4つ目の
ラボをローテーションすることも可能ですし、また8月に1年目がスタート
する前のサマーローテーションをすることも許可されています。従って
いずれの場合も最大4つのラボを経験することが出来るわけですね。
一年目の終わりの6月頃Preliminary Examがあります。このPreliminary Exam
ですが、今は大分制度が変わりましたが、私が1年生のときは、午前中が
暗記もの(in-class)の試験で、午後からtake-homeといって授業ノートを
見てもいいけど、夕方5時までに答案を提出するという試験でした。
結果は1ヶ月くらいで出ます。それが終わったら1年間ほどは配属された
ラボで研究生活。その1年間の終わりにあるComprehensive Exam は10ページ
のプロポーザルと、30分-1時間の発表、5-10分の質問タイム。終わったら
関係者以外は退出、部屋に残されたコミティーメンバー(5-6人)とおよそ
2-3時間のお話をするわけですね。先生方からの質問攻めが学生が返答に
困るまで続きます。これをパスすれば晴れてPh.D. candidateです。他の
大学は知りませんが、私の大学は、パスできなくてももう1度やりなおす
チャンスを与えられます。たとえば、コミティーとの話し合いが上手く
できなければ、半年後にもう一回同じことをスケジュールしなおす、
あるいは発表と質問タイムがパスできなければこれも半年後に同じことを
もう一回させられるといった具合でしょうか。チャンスも与えられず
不合格にされた例はありません。さらに、2度目で不合格にされた例もあり
ません。要は、パスしなかった学生の前例はないということです。試験を
パスしたいという学生の意欲さえあれば、教授達は全力を尽くしてサポート
してくれます。この時執筆する10ページにわたるプロポーザルは実際研究費
グラントを獲得するためにNIHに出すことを推奨されます。実際このプロポーザル
が受理されて卒業するまでそのグラントにサポートされていた学生が
多数いました。私は残念ながら外国人であったため、応募資格を与えられて
いないとわかっていたので、投稿プロセスなどの詳しい情報はよくわかり
ません。

        コロラド大学デンバー校Neuroscience Programは毎年、4-6人の
学生を取ります。学生は白人のアメリカ人が95%以上を占めます。 私が
入学した年は、プログラム初の留学生かつアジア人、でした。2011年度の
学生にまた新しく韓国から留学生を取ったようで、少しずつ海外からの
学生を増やしていきたいというプログラムの意向が伺えます。事実、外部者
によるプログラムの運営のチェック(external review of the program)が
数年前に行われた結果、「もう少し外国人留学生を増やすと良いであろう」
という助言をいただいたということを聞きました。私が知る限り、2006年
から2012年までの間、黒人の学生は一人もいませんでした。メキシコ系、
あとはインド系アメリカ人は1人、2人はいたかな。 留学生ゼロのプログラム
だったため、留学生の抱える問題を相談できるシステムはほぼ皆無でした。
従って、アメリカ人クラスメイトに頼るとか、上級生の学生に頼るとか
をしながら学生生活を送ったので、かえって人種を超えた絆が強く出来た
ような気がしました。その分カルチャーショックを受け止めるプロセスに
時間がかかりましたが、1年目2年目はあまりに学業が忙しくて面白いこと
にかえって3年目以降にカルチャーショックを強く感じ始めた覚えがあり
ます。

        3年目以降は実験をしていることが必然多くなりますが、それでも
1年に1度Public Talkを することを義務つけられています。自分の
プロジェクトの進行具合によっては、自分の選んだ5-6人の先生方で成り
立っているThesis Committeeから半年に一度Public TalkをしたりCommitteeと
Meetingするように要求されることも少なくありません。Public Talkは
成果を発表するという理由もありますが、研究者としてやっていくに
あたり重要になってくる、Talkをする能力を養成する目的もあります。
年に1度プログラム全員でロッキー山脈の山の中にあるロッジに一泊して
ひたすらサイエンスの口頭発表やポスターを発表しあう機会がありますが、
そのときも学生には出来るだけ積極的にPublic Talkをするよう教授陣は
呼びかけています。Public Talkはすればするほど、恥をかけばかくほど
上達するものだから、という先生方の想いがあるのだと思います。

        大学院生としての学生生活は本当に山あり谷ありですね。谷に
ぶちあったときは本当に辛いものです。少しだけコロラドの学生達が
どうやって気分転換しているのかについてお話します。今はGoogle Maps
など便利なツールも出てきましたが、地図をみてみると、非常に長い
ロッキー山脈がニューメキシコ州からカナダまで連なっていて、
全長は4800kmを超えます。その美しさといったら壮大です。この
土地を訪れて始めてわかることですが、コロラド州はとてもフラットで
ワイドな印象の街です。従って、数十キロ先まで見えてしまうんですね
。私は毎日家から学校まで運転しながらロッキー山脈を眺めながら
通いました。デンバーの非常にユニークなところは、都会から本格的な
山まで車でそれこそ1.5時間足らずで行こうと思えば行けてしまうこと
です。車から見えるビルが一つ、二つと消えていって、やがて壮大な
山々に変化してくる地点はそれこそデンバーを車で出発して30分- 45分
くらいです。夏はキャンプ、川くだり(Rafting)、Rock Climbing、乗馬、
すべて、そうですね車で3時間以内でしようと思えば出来てしまいます。
ちなみに湯治場のようなものも存在するため、温泉にアクセスすることも
出来るんですよ。冬はスキーにスノーボードですね。スキー場が数え
切れないほどこれもまた車で3-4時間の範囲に点在します。コロラドには
世界でも1位2位を争うような有名なスキー場があります。その一つ、
Vailスキー場は本当にハイクオリティーな雪があります。パウダースノー
というものですね。コロラドは空気が非常に薄く、湿度が低いため、
さらさらな雪が出来るんですね。私も一度訪れたことがありますが、
世界各国からのスキーヤーが集まってくるため、スキー片手に歩いていると
色々な国の言葉が耳に入ってきます。 また、コロラドはプロフェッショナル
スポーツが充実している都市でもあります。例えばアイスホッケーだったら
Colorado Avalanche、バスケットボールならDenver Nuggets、メジャー
リーグ野球ならColorado Rockies、アメリカンフットボールならDenver Broncos
 といった具合です。Rockiesがプレイオフまで進んだ年は街中が大騒ぎで
したね。今年はPeyton Manning がDenver Broncosのクオーターバックに
なったということで大注目されています。ところでスポーツといえばビールは
欠かせませんね。コロラドはアメリカでも1位2位を争うほど地元ビールの
生産が盛んです。ビール工場がたくさんありますし、街でレストラン、バーに
入ればビールの種類がたくさんありすぎて困るほどです。どのビールも
とてもユニークで味がいいです。New Belgium というビールメーカーは
コロラドのフォートコリンズに拠点があり、季節ごとに新しい新商品を
売り出しています。毎回新商品が出るのをたくさんの人がいつも楽しみに
しています。

ところで話はかわって卒業後の進路ですが、非常に多様だと思います。
正確な統計を取ったわけではありませんが、アカデミアに残った人が
60%くらい、それ以外の道に進む人が40%くらいだと思います。ポスドク以外の
進路を選んだ人の中で私が思い浮かべられる範囲では、Technology Transfer Office
 でLicensing Associateになった人、科学雑誌Science のAssistant Editor
 になった人、Science Policy の分野に行った人、Scientific Consultant
になった人がいました。中には一度大学の研究室でポスドクをして、方向転換
してその次には企業で働くサイエンティストになった人もいます。プログラム
全体としては、学生が必ずしもアカデミアに残らなくてもいい、むしろ多様な
分野で活躍してほしい、そのためにはプログラムが全力でサポートしていく、
という姿勢が強いです。本当に強く感じたのは、教授陣はいつも学生のことを
第一に考えてくれているということです。彼らはいつも学生達が選んだ道で
成功するよう、そして、サイエンティストとしてアカデミアに残る決意をした
学生には、その学生がアカデミアで成功していくサイエンティストになるよう
全力で育てよう、という深い想いが感じられるのです。  ちなみにここの
Neuroscience Program を卒業してすでに今Assistant 、Associate、あるいは
 Full Professorになられた方々は私が知っている限りでも3人おられます。
ここのNeuroscience programは1986年に始まり1993年よりNIHのグラントに
サポートされてきているプログラムです。大学でFacultyのポジションに
つくことが非常に競争率の高いこと、また卒業したすべての学生がアカデミアに
残ったわけではないことを考慮にいれると、すでに3人おられるというのは
素晴らしい成果なのだと私は思いますが、ご判断は読者の皆様におまかせ
します。

これからアメリカの大学院にアプライすることを考えていらっしゃる方々、
たくさんおられるかと思います。自分の興味のある研究がすでに分かって
いるのであれば、その情熱を強く育てて、どこのラボが一番自分の情熱を
強化できるかが判断材料になってくると思います。その一方、研究をする
ことは決定している、けれど分野は確定していない、もう少し自分の視野を
広げてみたいから米国のシステムを経験してみようという方もおられるかも
しれませんね。いずれの場合も、その大学院のある町が自分の生活スタイルに
合っているか、そのプログラムの人たちと上手く溶け込めそうか等、大学を
決めるに当たって判断材料にすると良い要素は他にもたくさんあると思います。
また、情熱を奉げている趣味をもっている方なのであれば、その街で自分の
趣味は継続できそうか、等々、少しだけ研究から目線をずらしたところにある
要素をしばし検討してみてくださいね。それらは、最後までやりとげてPh.D.を
取得するにあたり、無視できないとても大事な要素になってきますよ。もちろん
住めば都という言葉もありますけれどね。私の経験談が少しでも参考なりまし
たでしょうか。みなさんがんばってください。

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執筆者自己紹介
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押元 杏里沙
2002-2006 日本女子大学理学部物質生物科学科卒業
2006-2012 コロラド大学デンバー校にて Ph.D. in Neuroscience 取得

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編集者自己紹介
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石井洋平
2007年3月 上智大学理工学部物理学科卒業
2007年9月-現在 Brown University, School of Engineering, Materials Science
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8/4 【海外サイエンス・実況中継】企業派遣留学

posted Aug 3, 2012, 7:27 PM by Yohei Ishii   [ updated Aug 3, 2012, 7:28 PM ]

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_/ Aug 2012, Vol. 50, No. 1
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メルマガ副編集長のブラウン大学, School of Engineering 所属の石井です。
今回は企業派遣留学に関する記事を日系光学メーカー在籍のT研究員に
書いていただきました。
普段の記事とは違い、企業派遣ならではの目標があったようです。
様々な留学方法がありますので、企業派遣も選択肢に上がる方も
いらっしゃるかもしれません。それではお楽しみください。
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Q1.) 出身大学、学部学科、大学院留学先、学部学科を教えてください。

  大阪大学物理学科を学部、修士を卒業後、光学メーカに就職。
8年の勤務後に社命によりアメリカにて光学を学ぶことになる。
入学先はアリゾナ大学College of Optical Sciences の修士コース。

Q2.) キャリアプランについてはいつごろから考えていましたか?

2008年の1月に留学の話があり、勤務後に英語の勉強をスタートした。
2008年の5月に社長から正式に留学OKの承認を頂き、英語の勉強を加速する。
その間留学先として、光学で有名なTop3の大学(ロチェスター、アリゾナ、
フロリダ大学)を候補として選択する。中でもロチェスターとアリゾナが
東と西のTop Universityであることから目標をその2つに絞る。
注)自分の行きたい学科において、大学別のランキングを調査すべきである。
2009年の12月に出願書類の締め切り(TOEFL、推薦書、志望動機、旧大学のスコア)
2009年の2月合格通知
2009年の6月渡米しアリゾナ大学内の英語学校に2カ月在籍
2009年の8月入学
2011年の5月卒業

TOEFL Score 推移



Q3.) 就職先はアカデミアですか?それとも企業就職でしょうか?それは、
どういった分野ですか?大学院研究との関連性はありましたか?

企業から社名にて留学した為、業務に関係する研究をピンポイントで習得に行った
。留学先は光学分野を幅広く扱っているアリゾナ大学College of Optical Sciences
であり、最先端の光学知識を幅広く得られるものであり、将来の開発業務にも
直接関連している。

Q4.)  これから就職活動をする方へのメッセージをお願いします。

海外留学でどのような刺激を受けたか、日本でいるより良かった点を強
調すると良いと思います。
スキルの話でもよいですし、文化、エピソード、すごい人との出会い、
苦労話などでも良いと思います。自分がどのようにユニークであるのか
を知ってもらうことが一番かと思います。
また目標を持って留学した人、そうではない人は見抜かれると思います。
英語が話せるだけの人間では難しいかと思います。

Q5.) 上記で答えられたこと意外で付け加えておきたいことがあれば、お願いします。

私は企業から業務として、先端技術の習得を命じられました。
給与も出ておりましたので普通の学生よりも少し詰め込みの大学生活を
送ったかと思います。修士の1年9カ月というスケジュールでしたので
そうする必要があったのですが、結果的にこれが非常に私の為に
なりました。アリゾナ大学の授業は幅広く深い知識が得られるように
良く整理され組まれており、また学生にも多くの努力を要求するのですが、
この素晴らしい機会を最大化することができたのです。以下にどの
ような点でアメリカの授業が優れているかを述べたいと思います。
そもそも日本の大学の授業の大半は先生方の自己満足のレベルを
出ません。授業も前任の教授のノートの使いまわしだったりし、学生が
付いてこれなくなるのも無理はないと思います。競争原理が働いていないので、
このような教育がまかり通ってしまいます。一方、アメリカの大学では
授業の内容は教授が責任をもってまとめ、学期の初めにコピーセンターで、
1冊20ドル程度で販売します。どれもわかりやすく順序を追って整理されており、
それを元に授業をすすめてくれます。さらに半数ほどの授業はビデオで
録画され、世界に開放されます。また学期の終わりには学生に教授陣の評価を
行わせます。わかるように教えないとここで弾かれることになりますので、
授業の質が向上します。
また日本の大学は留年を厄介者と考えなるべく卒業させようとします。
日本の大学生が高校時代より怠けてしまうのはそのような緩いシステムにも
起因しています。私は日本の大学での6年よりアメリカでの2年の方がよほど
為になりました。これは誇張ではなく事実です。アメリカの大学ではCを
2度取ると追い出されたり、博士課程に進む際にもプレリム(preliminary exam)という試験が
あります。これに2度落ちるとその学部で博士号をもらうことはできません。
日本の高校時代のような緊張感がそこに存在します。この厳しい雰囲気が
私の背中を押してくれたと言えます。アメリカの大学は卒業が大変だと言う
のはこのような理由からです。

最後に世界中から集まってくる優秀な人間達と触れることができると言う
点は、日本の大学では味わえないでしょう。私のいたオプティクスでは
3~4割程度が留学生だったと思います。その多くが各国から奨学金を
勝ち取って留学してきた優秀な人達でした。その彼らが夜12時まで勉強
しているのを見て、少なくともそれ以上の努力が私には必要であることや、
日本での大学生活が本当に甘かったことを痛感しました。小さな世界に
とどまらずいろんな人に出会うことこそが自分を成長させるスパイスで
あると思います。

アメリカでの授業について主に述べてきましたが、もちろんその他の
生活活動全てが貴重な経験となり皆さんを成長させてくれるものと思い
ます。また異国での生活は尻込みするとは思いますが、それ以上に新鮮で
期待に満ちたものになるでしょう。限られた期間の留学です。ぜひ目標や
ゴールを持ってチャレンジしてみてください。きっとその実は将来に
素晴らしい花を咲かすことでしょう。

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編集者自己紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━
石井洋平
2007年3月 上智大学理工学部物理学科卒業
2007年9月-現在 Brown University, School of Engineering, Materials Science
イオンビームを用いたself-organizedナノパターン作成に関する研究に従事

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7/15 【海外サイエンス・実況中継】 就職活動記事

posted Jul 14, 2012, 12:02 AM by Yohei Ishii   [ updated Jul 28, 2012, 8:00 PM ]

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ July 2012, Vol. 48, No. 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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本イベントは、文系・理系にかかわらず、graduate school (学術系大学院)
 のPh.D.の学位取得を目指すための正規留学、またその在学生、卒業生や、
グローバルなキャリア構築を目指す方を幅広く対象にしております。

時間
2012年7月22日、13:30 ~ 17:00

場所
東京国際フォーラム 会議室 (G701)

プログラム
理系大学院留学経験者による講演会
基調講演:杉本慶子先生 (理化学研究所)
                安西祐一郎先生 (日本学術振興会理事長,前慶応義塾長)
ポスター発表(留学情報、研究紹介、就職体験記)
パネルディスカッション

懇親会17:00~19:00 (有楽町カフェ&ダイニングby ROYAL)

参加無料
プレゼントあり!
(懇親会費用は実費:約2500円)

スポンサー
アルク
小林久志名誉教授(プリンストン大学)
留学ジャーナル
カガクシャ・ネットメンバー有志
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メルマガ副編集長のブラウン大学石井です。今回は布施紳一郎さんに就職活動
記事を書いていただきました。何が就職活動において重要なのかなど様々なこと
が書いてあります。これから就職活動をする人には非常にためになる記事です。
それではお楽しみください。
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就職活動記事: 布施紳一郎

・大学院留学先、学部学科を教えてください。

ダートマス大学、分子細胞生物学プログラム(Dartmouth College, Molecular and
Cellular Biology Program)で免疫学を専攻しました。慶應大学理工学部応用化学科
卒業後、東京大学医科学修士課程を経て留学をしました。

・キャリアプランについてはいつごろから考えていましたか?

留学当初はアカデミアしか考えていませんでした。ただアメリカのバイオテック・
エコシステムのダイナミックさに魅了され、ビジネススクールの講義を聴講
したり、インターンを経験するにつれて企業就職を考え始めました。考え始
めたのは三年目の終わり辺りでしょうか。論文を数報投稿し、指導教官と
博士後の進路の話をちらっと話したことがきっかけで真剣に考え始めました。


・就職先はアカデミアですか?それとも企業就職でしょうか?それは、どう
いった分野ですか?大学院研究との関連性はありましたか?

企業就職で、博士修了直後はボストンに拠点を置くヘルスケア(製薬・バイオ
テック)に特化した戦略コンサルティング・ファームに就職しました。
ヘルスケア、ライフサイエンスなので、基本的には同じ分野です。様々な
プロジェクトをやりましたが、自分の研究分野であった免疫やオンコロジー(腫瘍学)
がホットな領域だったので、運良く関連性は比較的高かった気がします。
もちろん全く関係のないプロジェクトにも多数関わりました。例えばプライマリーケア製品
の営業分析、改革に関わるプロジェクトなど。ただ大学院時代の研究と
かけ離れたプロジェクトの方が学ぶことが多く、逆に楽しくも感じました。
その後、大学発の技術の商業化を行っているベンチャー・キャピタルから誘われ、
また新たなことを試してみたく転職しました。


・就職先をそちらに選んだ動機を教えてください。

研究者とビジネスサイドの職では少し迷いましたが、大学院四年目の夏に3ヶ月
休学し、米系投資銀行の東京支社でインターンをし、ビジネスサイドへの転換を
決めました。ヘルスケア・ライフサイエンスに特化したもの、しかも新たな
技術の商業化に関わる仕事がしたかったため、やはり先端をいく米国に残り
たいと考えました。米国に残るのならライフサイエンスのメッカである
ボストン、サンフランシスコ、ニューヨーク・ニュージャージー地域のどこか、
とこの三地域にほぼ絞りました。米国に残ったのは妻がアメリカ人だという
家族の事情もあります。


・就職活動のプロセスについてお願いします。どういったプロセスを経て
オファーをいただきましか?

基本的にコンサルティング・ファームはどこもプロセスは似ています。
まずはレジュメとカバーレターを提出し、いわゆる”レジュメ・スクリーン”
で残ったら面接へ進む。大手は筆記またはネット上の試験(GMAT形式)と
電話面接、もしくはキャンパスにて30分程度の面接。それを通れば第2、3ラウンド
はオフィスを訪れての面接。第2ラウンドはアナリスト、アソシエイト、
マネジャー・レベルの面接官で、第3ラウンドでは基本的にはパートナーと話します。

形式はケース、及び経験や動機などを問われるFit / Experience Interviewsの
ミックスです。大手はケースが多く、ブティーク(Boutique: 業界、または
ファンクションに特化したコンサル)はフィットを重視する傾向があります。
ブティークは勿論ちろんながら職務内容に関連するケースを聞いてくることが
多かったです。合間に若手社員と昼食に行く面接も多いですが、もちろん
これも面接の一環で、基本的にはフィットを見ています。よく”Airport Interview”
とも言われますが、飛行機が遅れてこの候補と飛行場で数時間過ごす事になっても
つまらなくないか、ということを試されます。これらの面接を通ればレファレンスを
チェックして、問題がなければオファーが出ます。


・実際にあった面接での質問を教えてください。

4年以上前のことなので詳しいことは覚えていませんが、逆に面接官として
多くの学生・院生を面接してきた経験からすると、これらの質問は必ず準備が
必要です。(サイエンス系の博士課程からコンサルへ進む場合)

1)なぜ研究者でなくコンサルタントになりたいのか
2)なぜ他社でなく当社なのか
3)簡単な自己紹介をしてください(バックグラウンド、2-3分)
4)私があなたの分野に関する知識が全くないと想定して、研究内容を
説明してください
5)あなたの研究成果を商業化するとしたら、どのような事を考慮しますか
6)(ヘルスケア専門の場合)最近読んで面白いと思ったヘルスケアに関する
記事について簡単に説明して下さい。(その後細かい内容、考察でなどのディスカッション)
7)チーム環境においてリーダーシップを発揮した時のことを教えてください


・面接で気をつけることを教えてください。

簡潔に答えること。PhDは細かい内容まで詳しく話すことは非常に得意ですが、
ハイレベルで要点をまとめて答えることに苦労するケースを多く見てきました。
例えば自分の研究内容に関する質問で、細かい内容まで長々と話す学生が
多々います。コンサルタントはパワーポイントを多用するので、自分の研究を
スライド一枚にまとめるとしたらどのようになるかを考えれば説明しやすい
でしょう。まずはタイトルで研究課題を述べ、四つのbullet pointで、
1)どのように社会に役に立つのか、2)仮説、3)手法、4)結果と考察と
続けば、五文で答えが済みます。

他にはいくらでもポイントはあり、これらは面接本、ウェブサイトで読む
ことができます。ただ日本人としてアメリカで面接することで気をつけることは、
自信を前面に出すことです。謙虚さは日本人の間で美徳とされますが、日本の
謙虚さは時に行き過ぎてアメリカでは”自信がない”と見られることがあります。
自分はこのポジションに必要とされるスキルを持っており、やれる自信がある
から、自分を採用すべきだ、という態度で臨むことです。日本人には少し
慣れにくく私も一時期苦労しました。郷に入れば郷に従え、ということです。


・就職活動において重要だと思われたことを教えてください。

第一にネットワーキング、第二にネットワーキング、第三に準備、第四に
ネットワーキングだと思います。アメリカではネットワークが非常に重要で、
レジュメをインターネットで提出するのと知り合いを通じてリクルーティング・
マネージャーに渡してもらうのとでは大きく結果が違ってきます。

ケースの準備はいくらでもネットでケース問題が載っているので細かいこと
は書きませんが、1)友人などと実際に練習すること、2)Marc Cosentino
の”Case In Point”は必ず読むこと、はお勧めします。


・就職活動での苦労、大学院生生活において就職活動準備としてするべきこ
とを教えてください。

研究はもちろん成果を出すことが重要ですが、研究室外でも色々な人と話し、
Committeeなどに参加することをお勧めします。他の分野の講義をとったり、
インターンシップをすることも重要です。最終的にアカデミアに残ると決めても
損することはないでしょう。


・これから就職活動をする方へのメッセージをお願いします。

自分には何が合うのかをしっかりと大学院生の時に考えることでしょう。
アカデミアか、企業か。研究者か、研究以外の職か。日本に戻るのか、アメリカ
(もしくはヨーロッパ)に残るのか。色々な人と話し、何かを試してみたければ
インターンシップをして本当に合うかどうかを試すことをお勧めします。
もちろん、研究を頑張って成果を出し、指導教官と良い関係を築いた上のことです。

カガクシャから様々な道で活躍される方々が出てくるのを楽しみにしています。

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編集者自己紹介
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石井洋平
2007年3月 上智大学理工学部物理学科卒業
2007年9月-現在 Brown University, School of Engineering, Materials Science
イオンビームを用いたself-organizedナノパターン作成に関する研究に従事

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発行責任者: 杉村 竜一
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6/30 【海外サイエンス・実況中継】米国カンザスシティ院生生活

posted Jun 30, 2012, 12:21 AM by Yohei Ishii

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ June 2012, Vol. 47, No. 2
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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本イベントは、文系・理系にかかわらず、graduate school (学術系大学院)
 のPh.D.の学位取得を目指すための正規留学、またその在学生、卒業生や、
グローバルなキャリア構築を目指す方を幅広く対象にしております。

時間
2012年7月22日、13:30 ~ 17:00

場所
東京国際フォーラム 会議室 (G701)

プログラム
理系大学院留学経験者による講演会
基調講演:杉本慶子先生 (理化学研究所)
               安西祐一郎先生 (日本学術振興会理事長,前慶応義塾長)
ポスター発表(留学情報、研究紹介、就職体験記)
パネルディスカッション

懇親会17:00~19:00 (有楽町カフェ&ダイニングby ROYAL)

参加無料
プレゼントあり!
(懇親会費用は実費:約2500円)

スポンサー
アルク
小林久志名誉教授(プリンストン大学)
留学ジャーナル
カガクシャ・ネットメンバー有志
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メルマガ副編集長のブラウン大学石井です。今回はメルマガ編集長の杉村さんに
アメリカ大学院生活について書いていただきました。大学院プログラム紹介、
就職活動記事、さらに大学院生私生活記事などこれからも内容を充実させていき
たいと思っています。それでは記事をお楽しみください。

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米国カンザスシティでの院生生活

米国の中西部カンザスシティの冬は例年マイナス10度まで冷え込むのですが、
今年は暖冬で5度から10度くらいです。夏季はキャンプが楽しめます。
私は娯楽といえば年に1-2回友人とキャンプやシカゴ、セントルイス等に
遊びに行くくらいで、普段はラボに住み込みで実験していることが多いです。

研究所と研究生活について

周囲のある程度成功している研究者を見ても、ひたすら働くというパターン
が多いです。最近の生命科学ではネイチャー、セル、サイエンスといった
一流誌はとてつもなく泥臭いパワーワークを課されることが多く、
ストワーズ医学研究所が米国中西部で比較的successfulにこういった雑誌に
業績を出し続けているのもこういった研究者の血のにじむ努力が大きいです。
数学や物理学ではどうなのでしょうか、ちょっと気になります。
設立10年にあたる当研究所は近年日本の生命科学研究者の間でも知名度が
上がりつつあるようです。ここでの院生生活はポスドクのそれに近く、
院生の採用基準に研究経験を強く求めるのも頷けます。コースワークは
基本的になく、半年ごとのコミッティーミーティングで知識不足が露呈すると、
その都度対応するコースをとらされる、というものです。私は医学部に
いたころからラボに通ったり細胞生物学やゲノミクスのような生命科学系の
教科書を何冊も読みふけっていたので、知識面でヤバイといったことはあり
ませんでした。また医学知識のバックグラウンドは研究でも役に立つ
(特にマウスの表現系を解析したり関連する分子を考えたり)ので、
他のラボの研究者からコンサルタント(?)されることもあります。
医学研究所と名がついていますが、完全に基礎の生命科学をしています。
酵母やハエを使ったDNAやタンパクの研究がメインです。私のいるラボの
ようなマウスは少数派ですね。医学部を卒業してMDをもってくる人は少なく、
日本人では医学部卒は今は私ひとりです。日本で言う理研に近いでしょうか。
基本的に全米でもトップクラスのPIやコアファシリティ(プロテオミクス、
次世代シークエンス、2光子顕微鏡など)がそろっているので、本人の
能力次第で良い仕事ができます。4年で卒業することが求められています。
短く感じますが、こんなに研究環境がそろっているので周囲の院生もネイチャー
やセルといった雑誌に論文をゲットしだしました(複数のラボで何人もの
院生がたった4-5年でこれらの業績を出すのは日本ではありえない光景です)。
先日私もようやく仲間入りを果たし、この6月にDefenseと卒業を控えています。


サマープログラムについて

毎年サマープログラムの学生を受け入れています。私も過去に参加しました。
昨年は京大から医学生が参加してくれました。海外の研究に触れるもの
すごく良い機会ですし、留学を考えている場合は大きなステップに
なります。出願の詳細はこちらからです。
http://www.stowers.org/education/stowers-summer-scholars


卒業後の予定

卒業はアカデミアに進むつもりです。医学というバックグラウンドから来て
いるので、臨床との橋渡しになるような研究を続けます。今取り組んでいる
幹細胞学はまさにうってつけのフィールドで、基礎研究の知見がベッドサイドに
応用され、逆に臨床の知見が幹細胞を理解するのに役立ったりします。
私が取り組んだ研究テーマは、幹細胞が生体で維持される機構を解明する
のに寄与し、先日ようやく論文がセル誌にアクセプトされました。今はこの
仕事から派生したとても面白いテーマにとりくんでいます。このワクワク
する感じが研究の楽しいところですね。卒後は今のラボでこの非常に面白い
現象とコンセプトを完成させ、それから独立して幹細胞以外のシステムでも
発展させる予定です。


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執筆者自己紹介
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杉村 竜一
PhD Candidate
Stowers Institute for Medical Research
この6月は卒業後、日本でセミナーをしてまわります。
横浜での国際幹細胞学会(ISSCR)、母校の阪大、
ご縁のできた京大、学部生時代に研究を教えていただいた
理研CDBでトークをします。留学前にお世話になった
ところばかりなので、恩返しが少しでもできるようで
楽しみです。

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編集者自己紹介
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石井洋平
2007年3月 上智大学理工学部物理学科卒業
2007年9月-現在 Brown University, School of Engineering, Materials Science
イオンビームを用いたself-organizedナノパターン作成に関する研究に従事
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編集後記
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最近アメリカ東海岸ニューイングランド地方も30度以上になる日があります。
30度以上でも日本ほど湿気がないのでそこまで不快感が
ないのが救いでしょうか。
アメリカでは日本のようにエアコンが壁や天井に設置してあるようなアパートは
あまりありません。一部の高い賃貸のアパートのみです。
私のような学生が住むボロアパートでは日本と違ってエアコン(といっても温風は
出ないのでクーラー)を自分で取り付けるのですが、木の窓の縁に自分でネジで
取り付けるのです。
毎年5月あたりに設置して、10月あたりに取り外すのに今は慣れてしまいましたが、
買ってきて自分で設置するというところにカルチャーショックでした。
アメリカ留学一年目のアパートに到着したのは8月、そして暑いのに
エアコンがないのです!しかもエアコンを買って自分で設置するという、
日本から来た私は????な状態だったのも懐かしいです。
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