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3/8【海外サイエンス・実況中継】Vienna Biocenter PhD Programme (Institute of Molecular Pathology)

posted Jan 30, 2012, 12:17 PM by Yunke Song   [ updated Apr 20, 2012, 7:26 PM by Yuji Takeda ]
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ February 2011, Vol. 53, No. 31
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
2月の編集を担当しております、ボストンの布施です。

今回はこれまでと少し異なり、欧州の大学院プログラムの紹介です
。オーストリアのウィーン、Vienna Biocenter PhD Programme
  (Institute of Molecular Pathology) に所属されている
劉天暁さんのエッセーをご紹介させて頂きます。

これまで配信させて頂いた情報のほとんどが北米に集中していた
ため、アメリカと少し異なる大学院制度の話は皆様にとっても
非常に興味深いかと思われます。近い将来日本の学生が大学院進学
を決める際に、日米欧の情報を比べて各々に合ったプログラムを
自由に選べる日が来ることを願っています。

それではどうぞお楽しみください。

なお、メルマガについて、ご意見などございましたら、カガクシャネット
ホームページ経由、 Eメールでもご連絡をお待ちしております。
今後配信して欲しい内容や、その他の要望などもお待ちしております。

http://kagakusha.net/

私たちの最新著書、「理系大学院留学」(アルク社)
http://kagakusha.net/alc/ につきましても、手に取りご覧になって
いただければ幸いです。どうかよろしくお願い申し上げます。

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~ Vienna Biocenter PhD Programme (Institute of Molecular Pathology)
紹介 ~

劉 天暁
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Vienna UniversityでPhD学生をやっている劉 天暁です。今はPhD3年目で、
Barry Dickson研(IMP, Institute of Molecular Pathology)でハエの求愛行動の研究
をしています。今回は、オーストリア全般の話はあまりできないのですが、私
が在籍しているプログラムについて少し書こうと思います。

私が在籍しているのはVienna Biocenter PhD Programmeとうもので、生物学を扱
う研究所4つ(IMP, IMBA, MFPL, GMI)が共同で立ち上げたPhD Programmeです。
これらの研究所は、細胞分裂、エピジェネティクス、マイクロRNA、神経回路
などの基礎研究を中心とした研究所で、さまざまなモデル生物をつかって多岐
にわたる基礎研究がなされています。自分にあった研究ができるかどうかを知
るには、プログラムのホームページでポジションをオファーしている研究室を
チェックするのがいいと思います。

入学のためには、1次、2次と2度の選抜があって、1次は書類審査、2次は
ウィーンに招待されての面接試験です。面接では口頭での論文発表と今までや
ってたことを聞かれます。詳細はホームページをチェックしてください。2次
の面接をパスするとその後2日間、さまざまなグループリーダと話す機会が与
えられるので、興味のある研究室が複数ある場合でも、その時に絞りこむ事も
できます。実際この2日間は非常に短いので、事前にある程度興味のある研究
室を絞ったほうがよいと思います。

入学後は、すぐに研究室での研究生活が始まります。授業は週に1回のレギュ
ラーのものとあわせて、研究室内での論文の輪読会(Journal Club)が授業とし
てカウントされます。そのほかには、PhD Committeeとのミィーティングが半
年に一度あり、自分のボスに加えて、自分で指定した2-3名のグループリーダ
ーとともに自分の進行状況とこれからの計画について議論しする機会が
あります。

研究所は非常に国際色豊かで、私の所属するBarry Dickson研内だけでも、メンバ
ーの出身国は数えてみると、8カ国になります。所内のすべてのやり取りは英語
で、ドイツ語はわからなくても研究生活に支障はまったくありません。所内には
生活面をサポートしてくれる人がいるので、保険や役所関係の書類で問題があっ
ても大丈夫です。もちろん、私生活の充実を考えるとドイツ語を話せることはお
おきな手助けになります。ちなみに、無料のドイツ語コースを開催してくれます
ので、習いたい方はお勧めです。

研究環境は非常によいです。最先端の設備もそろっており、それらは共通設備と
して使うことができます。試薬をつくったり、洗い物をしてくれたり、 DNAシー
クエンシングをやってくれるサービスもあるので、本当に自分の研究に集中で来
ます。世界中から招待されて、さまざまな一流研究者の講演が聞けるのもよいで
す。

Vienna Biocenter PhD Programmeでは給料も支給され、生活に困ることはありませ
ん。うまくやりくりすれば、貯金をすることも容易です。

プログラムの既定では、3-4年の間に卒業することになっています。アメリカ
のプログラムに比べて、短いと思われるかもしれませんが、1年目から研究に参
加することを考えると、実質の研究期間は同じ位になると思います。ほとんどの
生徒がその期間に卒業しますが、研究を継続したいときは、ポスドクとして残る
人が、少数ですが、います。

最後に、生活面についてですが、こちらは文句なしにたのしいです。ウィーンは
観光都市なだけあって、レストランやバーの種類は豊富で、自分の口にあうもの
を見つけるのは容易だと思います。オペラ、オーケストラ、クラシックギターな
どを鑑賞することが好きな方にはパラダイスだと思います。国際色豊かな研究所
事情もあいまって、アフター5の充実は研究が行き詰っていること忘れさせて
くれるほどです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。短くまとめを書くならこう
でしょうか。プログラム内のポジションをオファーしている研究室で、面白
そうなのがあれば、即アプライする!そうすれば、愉快でたのしいPhD生活
が待っています。愉快でたのしいPhD生活になるか不安な方、安心してくだ
さい。私が愉快でたのしいPhD生活にしてあげます。

< 自己紹介>

劉 天暁(りゅう てんぎょう)

2008年京都大学理学部卒業。現在、Vienna Biocenter PhD Programmeにより、
Barry Dickson Lab(Institute of Molecular Pathology)所属。ショウジョウバエの求愛行
動を観察する毎日。

<編集後記>

読んで頂いたみなさま、参考になりましたでしょうか?読み直してみると、それ
ほど有用な情報は書かれてませんね。有用なのは、私の在籍するプログラムでは
十分な給料が出るということくらいでしょうか。あとは、私がウィーンの生活を
エンジョイしているということくらいでしょうか。

と、おちゃらけはこの程度で。留学を考えている人、悩んでいる人に少しアドバ
イスを。“あまり考えない”でください。留学するというのは大きな決断です。
だからといって、たくさん考える必要があるとはかぎりません。弱冠20歳かそ
こらの若者は(私もその一員ですが)考えるより行動したほうがいいと思います
。“してみたいな”っていう気持ちを大切に暖めて、実行してください。新天地
で、友達や仲間を総入れ替えして、青春する。さいこーです。



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