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【海外サイエンス・実況中継】大学院留学を成功させるための指導教官選び(前)

posted Jan 30, 2012, 11:29 AM by Yunke Song   [ updated Jan 30, 2012, 11:29 AM ]
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ September 2008, Vol. 38, No. 2, Part 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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「留学本では教えてくれない海外大学院のホント~実際の体験から」を、前回
とは異なったトピックで、再び山本がご紹介させて頂きます。このテーマに関
しては、杉井さんが Vol. 31, No.2 にて「駆け出し大学院生にとってのベス
トな研究室とは」を書かれています。似通ってしまう部分があるかもしれませ
んが、工学専攻の私なりの視点で、このテーマに関して考えてみようと思いま
す。海外の場合に限らず、日本の大学院での研究室選びに当てはまることも多
いかもしれません。


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留学本では教えてくれない海外大学院のホント~実際の体験から
大学院留学を成功させるための指導教官選び(前)
山本 智徳
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●一流・有名な大学院を選ぶべきか?
研究室選びで疑問に思うことの一つに、一流校や有名校に応募するべきかどう
か、が挙げられるでしょう。私の場合、自分の興味のある(非常に狭い意味で
の)プロジェクトで探したため、いわゆる超一流校にはほとんど応募しません
でした。しかし、もっと広義の意味での研究プロジェクトや分野で考えると、
上位校も対象に入ってくるかもしれません。

サイエンス分野ですと、修士・博士一貫課程(以下、Ph.D. 課程)のみが多い
かもしれませんが、工学分野の場合、修士課程のみのプログラムも少なからず
あるでしょう。修士課程のみ、Ph.D. 課程へのステップアップを考えた修士課
程の場合、一流校に出願するのは十分にあり得るでしょう。一流校へ進学する
メリットは、何と言っても優秀な学生たちと触れ合えることでしょう。教授が
優秀なことはもちろん、各国からのエリート学生も多く集まります。優秀な人
が多ければ、周囲に刺激され、自らを高めることができます。一方、デメリッ
トとしては、(学校・専攻にもよりますが)財政援助があまり期待できないこ
とでしょう。周りの競争相手の学生が優秀であるため、余計にチャンスが下がっ
てしまうかもしれません。なお、一流校に行ってそれほど見栄えのしない成績
よりは、少しランク的な面では落ちても成績が優秀の方が、将来 Ph.D. 課程
に出願する際の印象は良いと思います(逆に、一流校で取った良い成績はさら
に印象が良くなるので、本当に表裏一体の関係だと思いますが)。

直接 Ph.D. 課程へ応募する場合はどうでしょうか。私個人の考えとしては、
自分の興味のある研究をしているのが一流校や有名校ではない限り、わざわざ
こだわる必要はないと思います。これまでの他の方々のエッセイでもわかるよ
うに、Ph.D. 課程はなかなかそう簡単に、順調には進まない場合が多いでしょ
う。モチベーションが低下したとき、あまり興味の持てない研究に携わってい
ると、余計にやる気は下がる一方です。逆に辛い状況であっても、自分の知的
好奇心が満たせる環境であれば、頑張ろうという気力が湧いてきます。例外と
しては、自分自身の力を試したい場合があるでしょう。世界各国から優秀な人
材が集まってくるので、やりがいは十二分です。また、学歴の見栄えを良くし
たい場合もあるでしょう。将来、出身校名が大きな力を発揮するのであれば、
一流・有名校に進学するのは大きなメリットだと思います。


●大学院生活は指導教官に左右される
ここでは Ph.D. 課程に限定して考えます。特に工学系の修士課程の場合、研
究をしないで授業履修のみで学位を取れる場合もあるからです。

一般的に、日本よりもアメリカの大学・大学院の方が、学生と指導教官の関係
は「濃い」と言われています。例えば同じ学校であったしても、指導教官によっ
て学生の得られる満足度は大きく変わってくるでしょう。そのため、充実した
大学院生活を送るためには、自分に合った指導教官を選ぶことが最重要だと、
私は思います。この「自分に合った指導教官」選びというのが、非常に難しい
問題です。というのは、学生の嗜好によって求める理想の指導教官像が変わっ
てくるからです。

まず、理論派か実験派かで大きく変わってくるでしょう。同じような研究に取
り組んでいても、研究者によってアプローチは異なるため、自分の興味のある
教授の得意分野を知っておく必要があります。私の携わる分野では、ハードウェ
ア寄りかソフトウェア寄りかも重要なポイントです。この違いに関しては、各
研究室のウェブサイトや、その研究室から発表された過去の論文を読むことで
大体わかるでしょう。逆に、研究室を選ぶ前にしっかりと見定める必要があり
ます。

他には、研究者タイプかマネージャータイプに分けられると思います。研究者
タイプとは、教授(Full Professor)になった後でも、自ら最前線に立って研
究活動に携わるようなタイプです。その教授のみの単著論文、もしくは共同研
究者(大学教授)との論文を出している場合、これに該当することが多いと思
います。学生やポスドクに与えるテーマとは別に、自らが取り組む研究テーマ
を持っているでしょう。一方マネージャータイプとは、自ら率先すると言うよ
りは、学生やポスドクに研究の主導権を与えます。もちろんミーティングなど
を通じて学生たちを指導したり、研究の推移を大筋で把握はしているでしょう
が、細かい部分までは熟知していない場合もあります。この両者の違いは、そ
の教授のみの論文があるかどうかをチェックしたり、研究室のメンバー数から
でも推察できるかもしれません。

次回後編では、実際の身近な例を交えてご紹介したいと思います。


今回のエッセイへのご意見は、こちらへどうぞ。
http://kagakusha.net/modules/weblog/details.php?blog_id=104


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自己紹介
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山本智徳
1998年都立日比谷高校卒業。一浪後、東京工業大学第5類入学。2003
年に東京工業大学制御システム工学科を卒業。今度は一年半の院浪生活を経て、
2004年秋より、メリーランド州ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス大
学機械工学科博士課程に在籍。現在、博士課程5年目。


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編集後記
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日本では新しい首相が誕生しましたね。みなさんご存知の通り、アメリカでも
間もなく新大統領が誕生します。9/26(金)には、私の住んでいる家のオーナー
が、セメスターキックオフパーティーを主催したのですが、開始時間が夜9時
と遅かったため、最初はみんなで両候補者による直接ディベート対決を観覧し
ていました。私は4年前もアメリカにいましたが、当時は初めてのセメスター
でいっぱいいっぱいで、大統領選挙までは気が回りませんでした。今年はじっ
くりと堪能したいと思います。(山本)


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