posted Jan 30, 2012, 11:27 AM by Yunke Song
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updated Jan 20, 2013, 5:17 PM
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_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ _/ _/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』 _/ August 2008, Vol. 37, No. 1, Part 2 _/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/ _/ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
先週に引き続き、布施さんに「留学本では教えてくれない海外大学院のホント」 をお送りしてもらいます。前編では、大学院生として成功するためには、英語 力・過去の研究歴はあるに越したことはないが、必須条件でもない。一方、複 数の仕事を平行してこなす、マルチ・タスキングの能力は、アメリカで成功す るためには非常に重要だ、と述べられています。今回のエッセイでは、積極性・ 自主性・論理性に関して、そして今回のテーマのまとめです。どうぞお楽しみ 下さい!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 留学本では教えてくれない海外大学院のホント~実際の体験から アメリカで「成功」する学生たちに共通するもの(後) 布施 紳一郎 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●積極性・自主性・論理性 自主性は、研究者にとっては必須と言える性質ですが、優秀な学生においても 同様のことが言えます。当然過去の経験の差から、入学当初は研究室の PI の ガイダンスを必要とする学生もいます。しかしながら、成功する学生たちは、 大学院修了時には必ずと言っていいほど自立していると言えるでしょう。自分 の研究テーマを決めるところから実験をデザインし、論文を書くまで独立して 行うことができ、研究室内ではポスドクと同様に扱われているケースがほとん どです。
さらに彼らに共通する性質として、積極性が挙げられると思います。優秀な研 究者には、大人しく会話を好まない人や、あまりプレゼンテーションを得意と しない人もいると思います。ただ、サイエンスに関しては非常に積極的です。 興味のあるデータを見れば、質問することに戸惑うことはありません。優秀な 学生にも同じことが言えると思います。研究発表やジャーナルクラブにおいて 常に興味を持ち、積極的に発言しています。前にも述べましたが、英語が不得 意でも何の戸惑いもなく積極的に質問するのは、やはりサイエンスに非常に熱 心だからなのでしょう。ディスカッションやセミナーにおける発言に限らず、 新しい手法やテーマに挑戦したり、困った学生がいれば手を差し伸べたり知識 を共有するなど、様々なことにおいて積極的であると言えると思います。
これもサイエンティストとして当たり前なことですが、やはり論理性も重要な 要素です。もちろん、偶然から大きな発見が生まれることも多々ありますが、 偶然を見逃さずそこから証明まで持って行くことができるのは、そのサイエン ティストの論理性がしっかりとしているからでしょう。優秀な学生たちも例外 ではありません。彼らは積極的に質問をすると述べましたが、聞いていて「な るほど」「それは面白いな」と、講演者や聴衆もが納得する質問をよくするよ うに感じます。データを批判的に見るということは、誰もが学ぶことであると 思いますが、彼らのコメントは批判的かつ生産的(Productive criticism)で あるように感じます。これは、しっかりとしたロジックが土台となっているこ とを反映しているのではないでしょうか。
●当然ながら 最後に、当然ながら彼らに共通する要素として、サイエンスに熱心であり、目 的意識がしっかりおり、人一倍働く、ということが挙げられます。上に述べた ことは、優秀なサイエンティストの多くに見られる性質ですが、大学院で成功 する学生たちも、既に同様の性質を持ち合わせていると言えると思います。さ らに言えば、サイエンティストに限らず、アメリカ社会において重要視される 性質でもあり、企業が求めている素質でもあるように感じます。私自身大学院 を通じて少しは成長できたかな、とは思っていますが、彼らを見ていると、ま だまだ自分を磨いていかなければ、と感じさせられることばかりです。
今回のエッセイへのご意見は、こちらへどうぞ。 http://kagakusha.net/modules/weblog/details.php?blog_id=98
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 自己紹介 ─────────────────────────────────── 布施 紳一郎
慶応義塾大学理工学部、東京大学院医科学修士、米国ダートマス大学院博士課程修了 (2008年、免疫学)。大学院修了後、ボストンに拠点を置く早期ステージベンチャーキ ャピタルであるPureTech Venturesのアソシエイトとして、Vedanta Biosciences、 Mandara Sciencesの起業に関わる。2012年よりヘルスケア戦略コンサルティングファーム であるCampbell Allianceのシニアコンサルタントとして製薬・バイオテック企業の戦略 アドバイザリーを手がける。コンサルティング業に加え、起業家、VCアソシエイトを対象 としたNPOであるStartup Leadership Programの2012年ボストンフェロー、 現ヴァイス・プレジデントとして運営を手がける。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集後記 ─────────────────────────────────── 今週末サンディエゴにて、カガクシャ・ネットワーク主宰者である杉井さんと お会いする予定です。カガクシャネットは、その性質上、メンバーが日本やア メリカをはじめ、その他の国々に散らばっているため、メンバーが一同に会す るということは非常に困難です。そのため、オンラインでの活動が中心とはな りますが、やはり直接会えれば、お互いにより多くのことがわかりますし、議 論できると思います。今後は、物理的な会合やイベントを増やし、より一層、 カガクシャネットの趣旨を広めていければと思います。 (山本)
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