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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか ~ 理系留学生が語る本音

posted Jan 9, 2012, 9:30 AM by Yunke Song   [ updated Feb 14, 2013, 12:07 PM by Akihiro Eguchi ]
カガクシャ・ネットワークでは、好評を博しているメールマガジンの特別号として、「なぜ日本でなく、アメリカの大学院を選ぶことにしたのか」というテーマで、これまで20人を超える大学院留学生にエッセイを書いてもらいました。執筆者の内訳は、現大学院生(14人)、博士研究員(アカデミア8人・インダストリー1人)、教授職(2人)、会社勤務(1人)、会社経営(1人)、です。
これらのエッセイから、海外大学院を選んだ主な理由(複数回答)について、統計を取りましたので、その途中経過を発表します。

一番多かったのが、「授業料免除、生活費をもらえる」(56%)です。ついで、「英語力を高めたかった」(39%)、「専攻・研究分野を変えたり、もっと幅広い学際領域を選ぶのに好都合だった」(28%)と続きました。他にも、「自分の希望分野でアメリカが最も進んでいた」「基礎から学べて充実した授業・講義を受けたかった」「まわりに大学院留学経験者がいた」(各22%)、「世界中から優秀な学生が集まるのが魅力だった」(17%)、なども多くの大学院生が留学を選んだ理由に挙げられています。

下欄に、順位および全てのリストを掲載します。

また、実際に大学院に留学してみて良かったことについても、直接のテーマではありませんが、記述された方が多かったため、統計を取りました。
トップは予想通り、「授業料免除、生活費をもらえた」(33%)で、「充実したハードな授業を通じて、幅広い分野での基礎力が身に付いた」(28%)、「英語で発表・議論することが苦でなくなった」(22%)、「世界中からの様々なバックグラウンドを持つ留学生と仲良くなれた」(17%)、「日本の良さも見えるようになった 」「 英語を通じて国際性を養うことができた」「 修士から博士課程に研究分野を変えやすかった」「博士号を持っていると、就職後の給料やステータスにも反映される」(各11%)と続きます。リストの詳細は下欄を見てください。

さらに、留学するのではなく、日本の大学院に行くメリットについても、多くの意見が寄せられました。「コースワークに時間を取られず、比較的マイペースに研究を進めることができる」(17%)、良いボス・研究室に恵まれれば、良い研究者に十分なれる」「研究のレベルは十分に高く、教育の質も向上している」(11%)、となりました。必ずしも、アメリカなど海外の大学院が絶対に有利という訳ではなく、各々のおかれている環境や目指す目標によっては、日本の大学院に進学することも立派な選択肢の一つだと、われわれは考えています。

今年いっぱいまで、このテーマは続きます。全てのエッセイが揃ったら、改めて最終集計を取り、ここに報告させていただきたいと思います。

興味を持たれた方は、当メールマガジン(http://www.mag2.com/m/0000220966.html )を購読してください。登録は無料です。

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引用:
アメリカの院を選んだ理由


1. 授業料免除、生活費をもらえる  10(56%)
2. 英語力を高めたかった  8(39%)
3. 専攻・研究分野を変える、または幅広い学際領域を選びたかった  5(28%)
4. 自分が希望する研究分野で、アメリカがもっとも進んでいた  4(22%)
4. 基礎から学べて充実したコースワーク  4(22%)
4. まわりにアメリカの大学・大学院進学を選んだ者・経験者がいた  4(22%)
7. 世界中から学生が集まるのが魅力  3(17%)
8. 厳しい授業の方が、自分が成長すると思った  2(11%)
8. アメリカの文化や海外での生活にあこがれがあった  2(11%)
8. アメリカの大学での教育、産学連携の様子を見て  2(11%)
8. 幼少の頃アメリカに住んでいて、いつかは戻りたいと思っていた  2(11%)
8. 日本の大学の講義に失望した  2(11%)
8. 家族の影響を受けた  2(11%)
8. インターネット・メーリングリストを通じて、情報を知った  2(11%)
その他(各1):
○大学から大学院へと、人材の流動性がある
○日本の大学院入試に不合格して、選択肢を見つけた
○企業研究員の身分も安定ではないことを悟って、もう一度大学に戻って自分の研究をしたいと思った
○就職活動で、内定がもらえなかった
○まわりのサポートをたくさん受けた
○社会のニーズに応えられる(人のために役立つ)学問をしたかった
○他の国よりもアメリカが、最も外国人に門戸を開いていた
○大学教授たちが若い研究者にも対等の目線で話をしていた
○博士号取得者は、企業でも重用されている
○シンガポール留学の経験を通じて、英語での大学院生活に興味を持った

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引用:
アメリカの院に行って良かったこと


1. 授業料免除、生活費をもらえた  6(33%)
2. 充実したハードな授業を通じて、幅広い分野での基礎力が身に付いた  5(28%)
3. 英語で発表・議論することが苦でなくなった  4(22%)
4. 世界中からの様々なバックグラウンドを持つ留学生と仲良くなれた  3(17%)
5. 日本の良さも見えるようになった  2(11%)
5. 英語を通じて国際性を養うことができた  2(11%)
5. 修士から博士課程に研究分野を変えやすかった  2(11%)
5. 博士号を持っていると、就職後の給料やステータスにも反映される  2(11%)
その他:
●就職の選択肢が多種多様
●社会に出て働いてから、大学院に戻りやすい環境が整っている
●世界の一流の科学者と研究できるチャンスが多い
●発表や議論する機会が多く、プレゼン・ディスカッション能力が鍛えられる
●研究費申請のしくみを学んだり、トレーニングできる場がある
●学生として学会やイベント・委員会等の運営を手伝いをする機会があった
●多くの研究室は少人数で、ボスとの距離が近い
●より多くの分野に網羅的に、優秀な教授がたくさんいる
●異なる分野の研究者との交流の機会が多い
●社会で働いた経験があって、年齢が高くても、違和感を感じなかった
●仕事に関して、人と人とのつながり・ネットワークの重要性を知った
●TA(ティーチング・アシスタント)として、授業を受け持って教える機会に恵まれた

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引用:
日本の院に行くメリット


コースワークに時間を取られず、比較的マイペースに研究を進めることができる  3(17%)
良いボス・研究室に恵まれれば、良い研究者に十分なれる  2(11%)
研究のレベルは十分に高く、教育の質も向上している  2(11%)
日本での就職に有利  2(11%)
その他:
★日本人の真面目さや誠実さ、職人気質を感じる
★「日本語」で研究の話ができる(アメリカ等で学ぶと日本語の専門用語に疎い)
★途中でクビになる可能性が低い
★博士課程が修士・博士一環でなく、修士号を持っている場合は時間が節約できる
★英語のプレゼン・ディスカッション能力が成功するサイエンティストの本質ではない
★一年目から研究室を決められて(ラボローテーションをする必要がなく)、時間的なロスが少ない 
★日本にいながらでも、求めて行けば、英語でのディスカッション・発表をする機会は充分ある
★高価な機材が、研究室単位である場合がよくある
★質的には、多くの優秀な研究者がいる
★日本に恋人がいる場合、(超)遠距離恋愛にならない

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