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【海外サイエンス実況中継・特別号】大学院留学:学生自らが大学院プログラムの運営に関わる

posted Jan 9, 2012, 9:20 AM by Yunke Song   [ updated Jan 9, 2012, 9:20 AM ]
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』 
_/  June 2007 Vol 11 No 2 
_/  カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/ 
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今週は、なぜアメリカの大学院を選んだか,の特別号。先週に引き続き、
ダートマス大の布施さんです。前号では免疫学について紹介しましたが、
今回は、アメリカの大学院に留学した動機を語ってくれます。また、大学
院生自らが、学会や大学院プログラムの運営に関わるチャンスがあること
に言及しています。



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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか?
                             布施 紳一郎
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私がアメリカの大学院で博士課程に進学することを選んだのにはさまざまな
理由があります。まずは研究上の理由があります。日本の修士課程在籍中に、
免疫記憶に関する論文や総説を読み、博士課程はこの分野の研究を行いたい
と思ったことが発端となりました。

当時はC型肝炎ウイルスの細胞内での複製に関する研究を行っていたので、
慢性感染を起こすウイルスにとても興味を持っていました。しかしC型肝炎
ウイルスはヒトとチンパンジー以外の動物には感染せず、とても研究しづ
らいウイルスです。免疫記憶の研究の先端は、当時も現在も、マウスを用い
たウイルス感染実験が主流となっています。よってマウスに慢性感染を起こ
すウイルスに対する、免疫反応を研究している研究室に移りたいと考えまし
た。免疫学における日本の研究のレベルはとても高く、アメリカにも劣ら
ないレベルを誇っていますが、私の行いたいと思った研究ではアメリカが
最も進んでいたため、博士課程はアメリカの大学院進学しようと決意しま
した。

経済的な理由もアメリカの大学院に進学した大きな理由の一つです。アメ
リカの博士課程プログラムにおける学生に対する支援は、世界に類を見ま
せん。授業料免除に加え、生活に十分な額の奨学金と医療保険などが支給
され、独立して学業に集中できる環境を整えてもらえます。ヨーロッパでの
博士課程進学も検討して、感染症分野において有名な研究所とコンタクトを
取りましたが、結果的にアメリカを選びました。アメリカのサポート体制は
日欧の博士課程プログラムに比べて、はるかに優れたものだったからです。

しかし私の選択に最も大きく影響したのは、以前のアメリカでの生活であっ
たと思います。私は小学校時代をサンフランシスコで過ごしたため、周りに
日本人がほどんどいない環境で過ごしました。また高校3年の夏、ハーバード
大学のサマースクールに参加しました。そこで受講した遺伝学の授業が私が
生命科学に興味を持つきっかけとなりました。また、日本ではなかなか見ら
れない、学生と講師が意見を積極的に交換する授業形式は、とても新鮮でし
た。

世界各国から移民を受け入れる国とあって、共に学ぶ学生は出身も人種も
さまざまです。そのような環境で学ぶことは学問とは別にとても刺激的な
体験でした。サマースクールでも日本人は少なく、自分が日本人であること
を特に意識させられました。自分の言うことが友人たちの日本人のイメージ
に大きく影響してしまう責任感や、日本に関する質問に答えられない自分を
恥ずかしく思う気持ちは、日本ではなかなか体験できません。

日本に戻り大学に進学しましたが、そのような環境で再び学び生活したいと
言う気持ちは強く残っていました。上に述べた理由と合わせて、修士課程
修了後が自分にとって最も優れたタイミングだと判断しました。もちろん、
大学卒業後すぐにアメリカの大学院に進学することも検討しましたが、残念
ながら準備不足もあったのと、その頃は博士課程に進学することは、まだ
はっきりと決めていませんでした。しかし日本の研究のレベルの高さを知れ
たことや、優秀で愉快な同期にも恵まれ、日本の大学院を体験できたことは
大変良かったと思っています。

日米の大学院両方を体験した身として、アメリカの大学院プログラムにおい
てとてもユニークだと思うことが多々あります。まずはプレゼンテーション
の機会がとても多いこと。Qualifying examと呼ばれる中間試験
http://blog.shigeki.org/参照)を始め、ものを書く機会も多く、それら
を通じて、研究費申請の仕組みなどを学ぶことができること。選択制の授業
や、普段のミーティングなどで研究室を問わずに他の学生や教授陣と、自分
や他人の研究についてディスカッションを頻繁に行うこと。研究者としては
もちろんその他の仕事においても、これらのスキルを磨くことはとても重要
なことで、このような機会に恵まれたことは幸いだったと思います。

日本の研究室のように教授の下に助教授、と言った仕組みとは異なり、アメ
リカでは多くの若手(30-35歳でも)の研究者が独立した研究室を持ってい
ます。それぞれの研究者が独立して違ったテーマを研究を行っているため、
さまざまな分野と触れ合う機会があります。またそれぞれの研究者が出身地
(国)、出身校、経歴がさまざまなので話を聞くだけでもバラエティに富んで
いて、学問以外にも多く学ぶことがあります。

これらのことに加え、アメリカの大学院に入学してから個人的に非常に貴重
な体験をしました。

まずは学会編成の仕事に加わる機会に恵まれたこと。著名な免疫学者であっ
た故ジェーンウェイ博士(Dr. Charles Janeway)により、30年ほど前に
設立されたニューイングランド免疫学会という学会があります。一地方の
小さな学会ではありますが、アメリカ北東部には優れた大学や研究所が集中
しており、他の地域からも講演者も招待するなど、質の高い学会になって
います。学生や若手研究者の育成を目的に設立された学会であり、5年ごとに
担当大学を変えながら学生が主体となって運営を行っています。運良くここ
数年は私が所属するダートマス大学が担当とあって、3年間委員会に加わり、
昨年は学生座長として講演者の選択、宣伝、プログラム編成など、運営に
携わる様々な経験を行うことができました。

また昨年は、現在所属している博士課程プログラムの学生代表の一人として、
運営委員の仕事も経験しました。プログラムの運営、また昨年の大学院出願
者の合否審査の仕事を、教員達と共に行いました。大学院生としてこのよう
な体験をすることは、アメリカの大学院に進学しなければなかったでしょう。

ただ、アメリカの大学院には長所もあれば短所ももちろんあります。

まずは、一年目に全員が必ず同じ基礎授業を受けなくてはいけないことです。
これは人によって意見が異なりますが、大学時代に同じ分野の授業を受けて
きた学生にとっては、内容の多くが重複してしまいます。基礎を固めるとい
う点では評価できるかもしれませんが、既にこの分野の知識を身につけて
いる学生、自分で学ぶ能力のある大学院生にとって、本当に必要であるかは
少し疑問が残ります。

また、生物医学系博士プログラムでは、最初の一年間は各学期、違う研究室
をローテーションという形で回ります。行いたい研究が決まっていない学生
に取っては有益であり、また決まっていても他の分野やテクニックを習得
すると言う意味で、メリットもあります。しかし興味を持っている研究に
すぐに取り組みたい学生にとっては、あまり必要ではないと思います。欧州
では日本と同様、学生が研究室にすぐに入る形式が主流であるためか、アメ
リカの形式に批判的な欧州出身の研究者と議論した覚えもあります。

アメリカの大学院に進学する日本人は、他の国に比べて少ないため、今後
増えていってほしいと言うのが私の願いです。しかし日本の研究のレベルも
非常に高く、大学院教育の質も欧米に匹敵するレベルにあると思います。
アメリカだから良いというのではなく、日欧米それぞれのメリット・デメ
リットを考慮した上で、学生個人個人が自分に最も合った大学院を選ぶこと
が重要であると思っています。



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自己紹介 
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布施 紳一郎
2001年慶應義塾大学理工学部応用化学科卒業。2003年東京大学大学院医学系
研究科医科学修士課程修了。2003年よりダートマス大学大学院微生物学・
免疫学プログラムに在籍、現在に至る。2005年よりアルバート・ライアン・
フェロー。



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編集後記 
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私は学士、修士、博士とそれぞれ違う大学のプログラムに所属しましたが、
振り返ってみて本当に良かったと感じています。日米問わず違う研究室、
違う大学での研究を行うことによって視野が広げることは研究者を目指す
人も目指さない人にとっても有益だと思います。大学院進学を考えている
方々には是非外へ出ることをお勧めしたいです。
(布施)



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