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【海外サイエンス実況中継・特別号】大学院留学:京都からオハイオへ

posted Jan 9, 2012, 9:22 AM by Yunke Song   [ updated Jan 9, 2012, 9:22 AM ]
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』 
_/  July 2007 Vol 13 No 2 
_/  カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/ 
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今週は、なぜアメリカの大学院を選んだか,の特別号。先週に引き続き、
オハイオ州立大の庄司さんです。先週は微生物について紹介してくれました
http://blog.mag2.com/m/log/0000220966/)。
今週は、アメリカの大学院に留学した動機を語ってくれます。多くの人と
同様に、庄司さんもまわりの環境の影響も大きかったようです。



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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか?
                             庄司 信一郎
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京都は四季の変化に富んだ場所です。冬は凍えるように寒く、夏は蒸し暑く
て屋外では汗が絶えません。京都で生活していたころは、この気温の大きな
変化に体がついていかず、季節の変わり目には絶えず鼻を鳴らしていたもの
でした。しかし京都の景観はすばらしく、春にはいたるところに桜が咲き誇
り、秋には京都を取り囲む山々に色とりどりの紅葉が見られます。また、
すべての生活に必要なものは自転車で通える距離にあり、非常に暮らしやす
い場所でした。

それに比べると、いま私が生活しているオハイオ州コロンバスはすべてが広
範囲に広がっており、車がなくては欲しいものがすぐ手に入りません。また
中西部に特有の激しい気温の変化は京都など目ではなく、今まで雪国で生活
したことのない私にとっては大きな挑戦でした。それではなぜ私はそこまで
して日本を飛び出すことを選んだのでしょうか?それにはまず、アメリカに
留学することを決意した経緯を述べなければなりません。

私が将来アメリカに留学するということをなんとなく考え出したのは、父親
が常々留学の必要性を説いていたことがきっかけだったと思います。また、
母親は国際性の豊かな人で、私が幼いころから外国から来た人たちのホーム
ステイ先として我が家を利用していたというのも、海外に対して親しみを
持てた理由のひとつかもしれません。

博士号を取得するということは、留学のずっと前から決めていたことでした。
「ドクター(ここではPh. D.)の資格は世界に通用する」というのは父親
の持論で、私には商人として育った父親が、なぜこのような考えを持ったの
かはわかりませんが、とにかく将来日本に何が起こっても海外で生活できる
ような能力を身につけることが必要である、ということは、私が高校に入っ
たころから言われ続けていたことでした。

これらの考えが具体的な形を帯びてきたのは、大学生活も4年目に入ろうか
という頃でした。もともと、アメリカ留学は博士号を取得した後にすれば
いいや、くらいに考えていたのですが、卒業研究をする研究室選びで、第一
希望の微生物学系の研究室に配属されなかったことが、これまでの惰性的な
進路計画を変えなければ、自分のしたいことはできない、と決意する直接の
動機になりました。というのも、その当時の大学の風潮としては、卒業研究
で配属された研究室でそのまま大学院の研究を行う、というのが一般的で、
私は同じ大学の違う研究室に行くくらいなら、しがらみの少ない別の大学に
変えたほうが心機一転、研究にも力が入ると考えたのです。

そこで浮上してきたのが、どうせ研究室をかえるなら、博士号取得とアメ
リカ留学を同時にしてしまえばお得じゃないか、ということでした。しかも
後になってわかったことですが、アメリカの大学院では学生に給料を払って
くれるというじゃないですか。これは一石二鳥どころじゃないぞ、という
わけです。

しかし、そのことを思いついたのが、4回生になる直前の3月、アメリカの
大学院の入学申請の締め切りは大体11~1月あたりなので、それまでにTOEFL
とGRE(*)を合格点まで持っていかなくてはなりません。しかもそのとき
私はGREという言葉も知らなかったのです。とりあえず4月にTOEFLをほとんど
勉強せずに受けてみたのですが、ひどい点数でした。

(*) TOEFLは、外国からの留学生に課せられる英語の試験、GREは学術系
大学院に進学するために必要な共通試験。

それ以降危機感を感じて、英会話に通いながら、TOEFLとGREのための勉強
を卒論研究と大学院の受験勉強の合間に続けました。本当に何をやっていい
かわからなかったので、とりあえずTOEFLとGRE関係の本を読みあさったり、
アメリカ留学に詳しい人たちの話をとにかく聞きに行ったりしていたのです
が、いま思い出してみても、よくあれほどのバイタリティーが沸いてきた
ものだと思います。そのかいあってか12月ごろにはなんとかギリギリの
合格ラインまではこぎつけることができました。

それでもいわゆる一流有名大学院への進学は半ばあきらめていました。なぜ
なら、私の学部での専攻分野からは少し離れた分野を希望していましたし、
私にはなんのコネも強みもなかったからです。そこでいかに勉強(研究)に
専念できる環境にあるか、という基準で大学院を選ぶことにしました。以前、
伯父から、アメリカに行くなら中西部は誘惑も少ないし、人々も親切だし
学問を学ぶには最適だよ、という話を聞いていたので、中西部のいくつかの
大学に入学申請することに決め、結局その中から当時興味のあった、古細菌
研究に秀でているオハイオ州立大学を選びました。

ここからは実際にアメリカに来てから気づいたことですが、私には日本の
大人数制の研究室よりも、アメリカの少人数制の研究室のほうが合っている、
ということです。日本では1つの研究室に教授、助教授、助手がいて、その
下に大勢の学生がいますが、アメリカでは研究室によりますが、通常1人の
ボス(PI)と少数の学生とポスドクしかいないので、研究テーマが研究室
内で大きく分裂することはありません。

PIと学生との距離が非常に近いのも特徴で、特に若いPIの下につくと、ボス
自身が実験について色々と手取り足取り教えてくれ、また一緒に議論しなが
ら自分の研究を発展させていくことができます。ただ、PIと気があわなけ
ればその研究室には居づらく、その意味で、研究室選びが非常に自由な分、
注意しなければ、時間と労力を大いに無駄にすることになってしまいます。
こればっかりは運、という要素も捨てきれないのですが、私はそのリスクを
負ってでも得るものは大きいと考えています。

最後に、アメリカ大学院留学を考えている皆さん、アメリカでの勉強は決し
て簡単なものではありません。また、前に述べたように留学が本当に実りの
あるものになるかどうかは運にも左右されるでしょう。しかしあきらめずに
常にポジティブに進んでいく力があれば、必ず留学は成功するものと信じて
います。私の留学に際して、アメリカへの留学の意思を快く受け入れてくれ
た福澤秀哉先生、多くの有用な助言をしていただいた阪井康能先生、清水昌
先生、Kagakushaメーリングリスト・ネットワークの主催者である杉井重紀
さん、私を常に支えてくれた両親、そして私をいままで励ましてくれたすべ
ての人々に感謝の意をささげます。




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自己紹介 
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庄司信一郎

1981年大阪生まれ。2004年3月京都大学農学部生体機能科学科卒業。同年
4月、京都大学大学院生命科学研究科に入学後、中退して9月にオハイオ州立
大学微生物学科博士課程に入学、現在在籍中。



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編集後記 
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先日、やっとCandidacy Exam(日本での博士課程入試のようなもの、正式な
Ph.D. studentとしての資格を得るための試験)に無事合格し、現在は
研究に埋没する日々を送っています。卒業後の進路をどうするか、アカデミア
に残るのか、企業で働くのか、まだ不明瞭なことはたくさんあるのですが、
日本を飛び出した時の勇気を信じて、何事にもチャレンジしていきたいと
思っております。
(庄司)



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