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【海外サイエンス実況中継・特別号】大学院留学:給料がもらえる院生とフレキシブルな就職口

posted Jan 9, 2012, 9:17 AM by Yunke Song   [ updated Jan 9, 2012, 9:17 AM ]
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』 
_/  May 2007 Vol 9 No 2 
_/  カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/ 
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今週は、なぜアメリカの大学院を選んだか,の特別号。先週に引き続き、
ナノテクノロジーの専攻分野の青木さんが,執筆します。今では少しずつ
知られるようになってきましたが、アメリカの大学院では院生でも給料を
もらえる実態について、詳しく紹介してくれます。また、教育プログラムや、
留学生の国籍、卒後の就職の選択肢などに関する、アメリカでの多様性に
ついて、触れられます。



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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか?
                             青木 敏洋
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日本の大学院に在籍しながら留学の準備をしていた時に多くの方から、なぜ
アメリカの大学院に留学したいのか?という質問を受けました。アメリカの
大学院は難しいよ、博士号を取れるかどうか分からないし、研究のレベルも
日本とあまり変わらないじゃないか、日本で博士号を取ってポスドクで数年
留学すれば良いのではないか、という訳です。確かにそれも一理あるのです
が、アメリカの大学院には日本ではあまり知られていない多くの魅力がある
のです。いくつかその魅力を挙げてみます。


返済しなくてよい経済援助が豊富である:

この豊富な財政援助という点は私がアメリカの大学院を選ぶ上で非常に重要
な要素でした。私自身、裕福な家庭の出身ではなかったで、お金のかからな
い地元の大学に進学し、さらには毎日バイトに明けくれていました。

しかし、4年生になり研究室に配属されると俄然、研究が面白くなり、バイ
トと研究の両立をするのに苦しむようになりました。大学院も、同地元大学
の修士課程に進学しましたが、授業料と生活費の一部を稼ぐのに忙しい研究
の合間に週7日もアルバイトをしていました。とても集中して研究できる
状況ではありませんでした。育英会から“奨学金”をもらうというオプショ
ンもありましたが、これはいわば借金、いつか返さねばなりません。

そんな時、友人から、アメリカでは理系の大学院生の授業料はただ、さらに
給料までもらえる、という話を聞いて、ぜひアメリカの大学院に行きたい、
と思い色々と調べました。そしてアメリカの大学院でティーチングアシスタ
ント(TA)かリサーチアシスタント(RA)をすると、TAの場合は学科が、
RAの場合は教授が授業料と給料を支給してくれるということがわかりま
した。まるで夢のような話で、すぐにリサーチをはじめました。

実際に入学して、院生の給料は教授、学科そして大学によって異るのがわか
りました。私の場合、最初の1年目は所属学科のRAとして共同実験室の運営
を週に20時間手伝うことで、授業料・健康保険を払ってもらい、さらに月に
1330ドルの給料をもらいました。

2年目からは指導教官のRAになり、自分の博士研究をすることで授業料と
健康保険を指導教官が払ってくださり、さらに月に1750ドルの給料(2001
?2003年当時)をくださいました。私の住んでいたアリゾナならば、独身
の学生であれば悠々とくらせる給料です(私は結婚していたので結構厳し
かったですが)。

私のいた学科には、現在でも100人ほどの博士課程の学生がいますが、ほぼ
全員がTAかRAとして授業料・給料をもらっています。これは日本の大学
院生に対する財政援助とは全く比べ物にならないほど、充実したものです。

この素晴らしい制度のおかげで、私はアルバイトで研究以外のことに時間を
費やすことなく、大学院の教育・研究に集中することができました。さらに
は日本でいう“奨学金”=借金をすることなく博士号を取得することができ
ました。


教育の充実・柔軟性:

私は日本で学士を取った後に同じ大学の修士課程に進学しましたが、授業に
は正直がっかりさせられました。授業は準備されたものとはとても言えず、
ただ英語のテキストを訳すだけでしたし、自分の研究に関係ないこと、つま
り授業に時間を費やすのは“時間の無駄”という雰囲気さえありました。

また、私自身は研究を進める中で、私の専攻であった金属工学よりも毎日
実験に使っていた電子顕微鏡のことを勉強したいと思うようになりました。
ナノテクノロジーのキーツールだと感じたからです。しかし、電子顕微鏡を
理解するには固体物理、量子力学、結晶学、回折物理などの物理・応用物理
を学ぶ必要があることを痛感しました。しかし日本の大学院は、授業は形
だけで研究がメイン。研究室を移ったり、大学を移るにしても自分の専門を
大きく変えるのは結構難しいと感じました。

大学院を探す過程で、アリゾナ州立大学に私の一番勉強したい電子顕微鏡を
教育・研究の中心にすえているScience and Engineering of 
Materials Interdisciplinary Program (学際材料科学・
工学プログラム、現School of Materials)があることが分かりました。
このプログラムでは自分の興味に合わせて他学科 (物理学科、化学学科、
地学学科、材料・化学工学科、電子・電気工学科、機械工学科、航空工学科)
から自由に授業を履修できましたし、電子顕微鏡の基礎から応用までを
完璧にカバーした大学院レベルのコースが4つも準備してありました。

入学後は予定通り、物理学科から固体物理、量子力学、回折物理のクラス、
化学科から結晶学のクラス、さらには電子顕微鏡法のクラスを4つすべてを
履修するとともに、興味のあった半導体・デバイス関連のクラスを電子工学
科から履修しました。アメリカの大学院の授業は形だけではなく、非常に
充実した内容で、徹底的にしごかれて勉強しました。おかげで短期間のうち
に、自分が研究したいと思っていた分野の基礎を固めることが出来きました。

指導教官選びでも私が勉強・研究したいと思っていた電子顕微鏡法を専門に
している物理学科の有名な先生に指導教官になってもらうことができ、さら
に物理的な物の考え方を学ぶことが出来ました。


英語力の向上と国際交流:

現代は国際化社会、企業でもアカデミアでもますます英語力が求められる
時代です。英語の吸収力は若ければ若いほど早いと一般的に言われています
ので、アメリカの大学院留学を通して英語力を磨きたいと思っていました。
英語で授業を受け、ディスカッションし、プレゼンテーションをし、文章を
書くことでかなり英語は磨かれたと思います。

またアメリカの大学院には世界各国から優秀な人たちが集まってきます。
私のプログラムには2003年当時、フランス、イギリス、ブルガリア、
インド、中国、韓国、オマーン、そして日本(私)からの留学生が在籍して
おり、留学生が大学院生全体に占める割合は7割を超えていました。そして
その優秀な学生たちと知り合い、一緒に勉強・研究したり、ディスカッショ
ンをすることができました。今でもクラスメートの大部分と連絡を取り合っ
ています。


就職のフレキシビリティ

アメリカにおけるサイエンス・工学系博士号取得者の就職は、日本に比べ
非常にフレキシブルです。Ph.D.をとった後、すぐ企業に就職する人、
数年ポスドクをして企業に就職する人、企業に就職してから数年たってアカ
デミアに戻ってくる人と、さまざまです。このように博士号取得者の就職が
多様であるのは、アメリカの企業が積極的にサイエンス・工学系のPh.D.を
高給で雇うからです。

分野によっては(応用系は特に)、Ph.D.の学生の多くが最初から企業就職
を目指しています。また学科内に、企業で働きながら修士号や博士号を目指
している人達も、結構いました。私は自分の可能性を企業・アカデミアの
どちらでも試すことができるアメリカのシステムを、非常に魅力的だと感じ
ました。(* 分野によっては、理系分野でも企業就職するとアカデミアに
戻るのが難しい場合もある)

実際、私もPh.D.取得後に9ヶ月間ポスドクをした後、企業就職をしまし
た。学会でお会いした企業の方に、電子顕微鏡研究では名の知れたアリゾナ
州立大学に面白い日本人がいる、ということで興味を持っていただき、日系
ナノテク・電子顕微鏡会社のアメリカ法人から誘いを受けました。

仕事の面接では仕事内容について色々と聞いてみましたが、私がこれまで
学士・修士・博士課程で学んできたことがすべて必要とされるポジションだ
と実感しました。これまで大学で学んだことが実社会でどう活かせるのか
見てみたいと思い、就職を決めました。

就職して以来、会社におけるPh.D.に対する期待・責任の大きさに日々驚か
されています。なんでも知っているのは当然の如く扱われますし、普段、
お客さんとディスカッションをしたり、お客さん向けにデータを取ったり
レポートを書いたりするのですが、言葉一つ一つに責任を感じます。お客
さんは直接口には出しませんが、Ph.D.を持つあなたが取ったデータ・
書いたレポートなら信用しましょう、とう態度を取られます。お客さんに
よっては、他のエンジニアのとったデータを取り直すように要求します。
プレッシャーは大きいですが、やりがいもあり、若くして責任あるポジショ
ンをまかされたりします。また現実的ですが、給料も学士・修士を持って
いる人に比べて格段に良く、Ph.D.が企業に流れるのも無理はないな、
と実感しました。


最後に

私はアメリカの大学院の一番のよいところは、学生を教育し将来のために
トレーニングすることに、重点を置いている点だと思います。そのトレーニ
ングを受けることで、日本にそのままいた場合よりも、もっと幅広い知識と
視野を身につけることができたと思います。日本の大学院はどちらかという
と研究者の輩出が目的であり、教育よりも研究。幸い、私のアメリカ大学院
での指導教官はとても教育熱心で、かなり頻繁に一緒に実験をしましたし、
データの解釈についてもディスカッションをしてくださいました。彼から
受けた訓練は私の武器かつ宝であり、今後の私を支え続けてくれることと
思います。



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自己紹介 
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青木 敏洋
2000年熊本大学材料システム専攻博士前期課程(修士課程)修了後、アリ
ゾナ州立大学Science and Engineering of Materials Program 
(現School of Materials)留学、2003年Ph.D. program修了。
2003年12月?2004年9月アリゾナ州立大学ジョン・M・カウリー高分解能
電子顕微鏡センターでのポスドクを経て、現在、JEOL USA, Inc.
にTEM Application Specialistとして勤務。専門は電子顕微鏡法の
ナノマテリアル研究への応用。



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編集後記 
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早いもので大学院を卒業してすでに3年半の月日が経ちました。大学院に
入学してちょうど2年くらい経った時、過労と睡眠不足がたたって大病を
患ってしまい、半年近く研究をほとんど進められない時期がありました。
正直、だめかもしれない、と思った時もありましたが、研究への情熱と家族
に支えられ、Ph.D.取得という目標を達成することができました。アリゾナ
の大学院で過ごした時間は私の人生で本当にかけがえのない思い出です。
今でも、あの時がんばれたのだからどんな困難も乗り越えられる、という
思いが常にあります。戻れるならばまた大学に戻りたい、なんて考えている
今日この頃です。
(青木)



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